日に日に便利になる運転支援機能。なかでもアダプティブクルーズコントロール(ACC)との組み合わせで絶大な効果を発揮するのがレーンキープアシスト(LKA)だ。
この機能、カメラで車線を認識してステアリング操作を助けてくれるものだが、車種によってはかなり忠実に車線をトレースしてくれて、ロングドライブでは非常に役立つ。
しかし、こいつはあくまで運転の「支援」だから、ステアリングから手を放し続けると警告が出され、それでも従わない時は機能が取り消されてしまう。
このキャンセルの仕組み、専門家の間では「65秒ルール」と呼ばれており、国連の「WP29」という会合が決めた国際基準が根拠となっている。
ところがBMWがその先を行った。
※本稿は2019年5月のものです
文・写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年6月10日号
■日本でも夏以降 順次導入
BMW社は2019年4月、今夏以降、3シリーズや8シリーズに「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」を設定し、順次車種を拡大すると発表した。
具体的にいうと、この機能は高速道路の渋滞時(時速60km以下)に車線維持を行い、継続した手放し運転を可能にするというもの。
「基準違反じゃないか」といわれそうだが、実は前に述べた「WP29」の基準には続きがあるのだ。
それが自動車線維持における「カテゴリーB2」という基準で、高速道路に限り、ドライバーの常時監視や安全な運転の受け渡しといった条件を満たせば、ハンズ・オフ(手放し)を認めるというもの。
BMWジャパンによれば、新型3シリーズにはこうした条件を満たすデバイスがすでに搭載されており、これらを有効にするだけでハンズ・オフが可能になるとのこと。
ただし有効化はオプション扱いとなる可能性もあり、今後詳細を詰めていくそうだ。
あくまで「自動運転レベル2」の話であり、運転の責任がドライバーにあることに変わりはないが、楽しみな技術だ。
【番外コラム】 車載バッテリーの「余生」はどうなる?
こちらはバッテリーの話題。
電気自動車の普及に合わせて、世の中にあふれてくるのが車載バッテリー。
もともと高性能に作られているだけに、車両用として寿命を終えた後もさまざまな使い道がある。
というわけで、バッテリーをもっと有効に使おうという動きが活発化している。
「BaaS(バッテリー・アズ・ア・サービス)」というこの動き、最近では三井物産がアメリカのEVバス最大手「プロテラ」と組んで、電池のインフラ化に乗り出した。
もともとEVバスは高価なのだが、三井物産は車両価格に含まれるバッテリー相当額を肩代わりし、バス運行業者はそのぶんを月割りで支払う。
初期費用が抑えられ、バッテリーが劣化したら安価に交換できる点もメリットとなる。
バッテリーの再利用自体は今始まったことではない。トヨタはプリウスのバッテリーを全量回収してリサイクルしてきたし、日産もリーフのバッテリーを太陽光発電の蓄電池などとして再利用している。
ただしバッテリーの流通量が飛躍的に増加すると見込まれる今後は、新たな解決策が必要になる。メーカーや国の壁を越えて、バッテリーの再利用に取り組む企業が現われる必要があるだろう。
かつてベタープレイスという会社が、バッテリーを規格化して、バッテリーステーションで自由に交換できる仕組みを構想した。同社は惜しくも破綻したが、バッテリーをどう使うかという問題は、今後ますます重要になるだろう。
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