■現在軽量化に最も力を入れているスズキ
21世紀の今、軽量化に強いこだわりをもっているのがスズキだ。グラム単位で軽量化に励み、生産方法にも工夫を凝らした。
軽量モデルの筆頭が、2014年12月にモデルチェンジした現行型アルトである。プラットフォームを一新し、先代のアルトエコから60kgもの軽量化を達成した。廉価グレードのFは、驚異的な610kgの車重だ。
また、ターボ搭載のワークスとRSも670kgに抑え込んだ。それでいて走りはシャキッとしているし、安全装備にも抜かりはない。
ホンダS660やコペンと一緒に走らせても軽量だからスピードのノリがいい。アルトには開発エンジニアの執念が感じられる。
スイフトも軽い。このコンパクトカーは、日本だけでなくハンガリーのマジャールなど、海外の工場でも生産するスズキの主力モデルだ。
そのために生産性を重視している。が、生産方式を工夫し、難易度の高い高張力鋼板などの技術も盛り込みながら海外でも軽量かつ高品質なスイフトを誕生させた。
1.2Lモデルは弟分のイグニスとほとんど違わない860kgの重さに抑えている。ハイブリッド車とターボ搭載のスイフトスポーツでも1トンを難なく切る軽量ボディだ。
上のクラスではインプレッサが軽い。主役のAWDモデルは、2Lエンジン搭載車でも1370kgの軽量である。
しかも運転支援技術のアイサイトと歩行者エアバッグなど、安全装備を標準装備しての重さだ。
マツダ3だと1.5Lモデル、カローラスポーツは1.2LターボのAWDモデルと大差ない重さに抑えているのは高く評価できるところだ。
航空機でモノコック構造に造詣の深いスバルは、スバル360の時代から軽量化に力を注いでいた。
インプレッサからは新世代プラットフォームのSGPを採用し、アルミ合金製の水平対向エンジンも軽量設計だ。
ボンネットなどにはアルミ材も使っている。技術の積み重ねによって先代よりはるかに軽いクルマに仕上げている。
輸入車ではEVのBMWi3を高く評価したい。EVはモーターに加え、重いバッテリーを敷き詰めているために重量がかさむ。
だが、i3は、レーシングカーと同じようにカーボンファイバー製の骨格にアルミ合金製のシャシーを組み合わせ、ボディは強化ガラス繊維のFRPとするなど、徹底して軽量化に努めた。
その結果、最新モデルはリーフと同じ40kWの大容量バッテリーを積みながら1320kgの車重を実現したのだ。
リーフは1490kgだからパワーウエイトレシオは大きく差をつけ、加速も冴えている。
【まとめ】
軽量化がもたらす恩恵は非常に大きいものの、やはり安全性とのトレードオフになりやすい。
そんななかでも軽量化を実施し、なおかつ安全性も確保している車種たちに賛辞を送りたい。
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