五輪開催期間中 都内大渋滞の対策はいかに?首都高料金上乗せの是非

 いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが来夏、開催されるまで、あと1年あまり。五輪チケットの抽選販売で幸運にも当たった人はおめでとうございます。

 ドライバーにとって、今から気になっているのが東京五輪大会開催期間中の都内の渋滞だ。

 全世界から観戦客が東京に詰めかければ、ただでさえ激しい交通渋滞の都内がパニック状態に陥ってしまうのは自明の理。そこで、本企画では五輪開催期間中のロードプライシングについて研究してみた。

文/清水草一 ベストカー編集部
写真/ベストカー編集部 Adobe Stock
初出/2019年7月10日号
※本企画は2019年6月現在のものです


首都高の渋滞は2倍になると予想しているがそれだけで済むのか?

TEXT/ベストカー編集部

東京オリンピック、パラリンピック開催期間中はクルマを運転するのは控えたほうがよさそうだ

 2019年5月30日現在、まだ正式決定はされていないのだが、東京都と国交省などが五輪開催期間中、首都高の通行料金を早朝から夜までの時間帯に1000円を上乗せ課金する「ロードプライシング」を実施する方針だ。

 それ以外の時間帯となる深夜時間などは大幅に料金を引き下げることで、交通量を現在の15%程度と休日並みに分散させるのが狙い。

 このまま何も対策を取らなかった場合、国では五輪開催期間中の首都高での渋滞が通常の2倍近くになるとの予測を立てている。

 対象となるのは基本的に普通車となり、トラックやバスなど事業用車両は課金されない。

 首都高の対象エリアとなるのは、中央環状線が中心で、現在のETCを改修することでETC車(通常料金300〜1300円)にプラス1000円が追加で課金されるようになるとのことだ。ETC車載器のないクルマは料金所で追加料金を含めて支払うことになる。

 さらにこちらも決定事項ではないが、ETCで自動的に検知されない小型トラックやタクシーなどについては一度上乗せされた料金を後に返却する方向で調整中。

 そもそも上乗せされる1000円という追加料金については、国が500〜3000円のなかで試算を繰り返し、流入してくるクルマの抑制効果などを試算した結果、決まった金額。1000円なら利用者の負担を最小限にしたうえで、交通量そのものを抑えられるとの見方らしい。

 ちなみに大会関係車両については首都高の一部で専用レーンが設置される予定。ナンバー規制や相乗り優先は見送られるとのことだ。

首都高が混雑する箇所(出典:東京オリンピック・パラリンピック準備局)

渋滞対策を取らないと都内の道路は大パニックに!

TEXT/ベストカー編集部

何も対策をとらなかった場合の大会輸送影響度MAP

出典/東京オリンピック・パラリンピック準備局

 すでに昨年、東京都オリンピック・パラリンピック準備局が「大会輸送影響度マップ」を発表している。このマップは、来年7月25〜8月8日までの17日間の開催期間中、何も交通対策を行わなかった場合に道路や鉄道に生じる影響をまとめたものだ。

 それによると、17日の期間中すべてが混雑しているというワケではない。主に仕事で使われるクルマが走らない日曜日は比較的、渋滞が緩和されているからだ。

 首都高で特に激しい渋滞が予想されているのは、まず7月31日の金曜日。首都高6号向島線の箱崎付近下りでは朝9時から23時まで渋滞が予想されている。

 さらに3号渋谷線の池尻付近下りでは朝6時から24時まで一日中渋滞するとの予測が出ている。この渋滞理由のひとつに、大会関係者の移動が含まれることも取り沙汰されているようだ。

 このほか、都心に向かう首都高の入口を一部封鎖したり、入口手前での車線制限などを実施したりするなど、首都高へのクルマの流れを抑える計画だという。

 そうなると首都高に入れないクルマは一般道に流入し、商用車が走る平日は渋滞が激しくなるのは当然だが、都内全域の一般道での移動は期間中、朝8時から夜22時までは通常の3割以上の遅れが出ると予測されている。

 また、五輪開催1年前となる2019年7月末〜8月中、東京都は時差出勤の拡大や職場以外での勤務を行うテレワークなど、交通量の抑制を目的とした実証実験を実施する。

 その結果次第によっては、ロードプライシングとして上乗せされる料金1000円という金額も今後変更される可能性があるという。

物流関係のトラックなどを除く一般車に日中1000円上乗せは高すぎないか?

TEXT/清水草一

詳細は不明なものの、普通車と軽・二輪のみプラス1000円だと普通車扱いのトラックが特大車より料金が高くなる懸念も

 2020年東京オリンピックに向け、国や東京都が期間中の渋滞対策として、首都高中央環状線とその内側の区間で、物流関係のトラックなどをのぞく一般車に対し、料金を日中1000円上乗せする案を検討していると報道された。

 この原稿の執筆時点、2019年5月末現在ではあくまで「検討中という報道」のみだが、とりあえずこの案はかなり乱暴だ。

 対象が「物流関係のトラックなどをのぞく一般車」ということはつまり、普通車と軽・二輪を指すのだろうか? 普通車扱いのトラックも多いが、それは一般車に分類されるのか。それとも4ナンバー車は対象から外れるのか。

 あくまで検討中という報道だけなので、当然詳細は不明だが、仮に普通車と軽・二輪だけのプラス1000円だとすると、利用距離によっては、特大車より普通トラックのほうが料金が高いといった不合理が生じる。

 大会期間中、鉄道やバスなどで代替の利く乗用車を、首都高からなるべく排除したいのはわかるが、なぜそんな大雑把なことを? と言わざるを得ない。

 大会期間中、首都高でロードプライシングを実施することに関しては理解している。

 いや、むしろ必要だ。それはきわめて特殊な期間(17日間)で、その間は制約が生じて当然だし、個人的には首都高ではいろいろ細かい時間帯別ロードプライシングを実行して、それによって交通量がどう変動するか、データを今後に生かしてほしいと考えている。

 なのに、ETCの利用率が96%に達している首都高で、なぜ「とりあえず1000円!」みたいなずさんな案が検討されている(?)のか。

 まぁ、ロードプライシングが複雑すぎると、利用者が理解できずに交通量抑制効果が狙いどおり発揮されないという懸念もあるが、それにしても大雑把すぎる。これが現金利用車に対するものならわかるが……。

普通車の料金は通常の1.65倍の料金が妥当!

 つまり、現金利用の場合、普通車は通常1300円のところ2300円、軽・二輪は1070円が2070円という。といっても現時点では「検討中と報道された」だけなので、あれこれ細かく指摘するのも無意味なのだが。

 ETC利用車に関しては、少なくとも「日中は通常の1.5倍」とか「2倍」とか、倍数にすべきだ。それだって充分にわかりやすい。

 ただ、普通車の料金を通常の2倍にすると、大型車を超えて特大車(普通車の2.14倍)に迫る水準になる。それはさすがに高すぎるんじゃないか。私としては、大型車の水準(普通車の1.65倍)あたりが適当ではないかと考える。

 今回の1000円値上げ報道から、国や東京都が考えているロードプライシングのレベルを推測すると、この1.65倍くらいではないかという気もする。仮にこれが実行された場合、首都高の渋滞はどうなるか?

 首都高の車種ごとのおおまかな利用比率は、軽・二輪が1割、普通車7割、中型車1割、大型1割(+特大車2%)だ。

 大会期間中は首都高の利用を控えるように事前のアナウンスを実行しつつ、計8割を占める普通車と軽・二輪の料金を1.65倍にすれば、狙いどおり通常より2〜3割交通量が減って、ほぼ渋滞フリーになるのではないか。そのぶん一般道の渋滞がどれくらい悪化するかは心配だが。

 日曜日の首都高は平時に対して約2割交通量が少なく、非常にスムーズに流れる。渋滞はごく一部でしか発生しない。それくらいだと思えばいい。

 日曜日の首都高は、電車利用の半分程度の所要時間で移動できる。新宿から羽田空港まで20分くらいしかかからない。オリンピック期間中の大渋滞を懸念するシミュレーションもあるのだが、私は楽観的だ。

 オリンピック会場には一般客用の駐車場なんて用意されないから、クルマで見に行く人はいない。私は、関係者が「大渋滞の発生が懸念される」と言っているのは、危機感をあおるための作戦だと思っている。

 オリンピック期間中は、ロードプライシングを含め、どんな交通規制だって実行可能だ。この管理大国ニッポンで、大会関係車両が渋滞で困惑するような事態はあまり考えられないし、そんな不手際があっちゃいけないだろうと思うのだが……。

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