五輪開催期間中 都内大渋滞の対策はいかに?首都高料金上乗せの是非


物流関係のトラックなどを除く一般車に日中1000円上乗せは高すぎないか?

TEXT/清水草一

詳細は不明なものの、普通車と軽・二輪のみプラス1000円だと普通車扱いのトラックが特大車より料金が高くなる懸念も

 2020年東京オリンピックに向け、国や東京都が期間中の渋滞対策として、首都高中央環状線とその内側の区間で、物流関係のトラックなどをのぞく一般車に対し、料金を日中1000円上乗せする案を検討していると報道された。

 この原稿の執筆時点、2019年5月末現在ではあくまで「検討中という報道」のみだが、とりあえずこの案はかなり乱暴だ。

 対象が「物流関係のトラックなどをのぞく一般車」ということはつまり、普通車と軽・二輪を指すのだろうか? 普通車扱いのトラックも多いが、それは一般車に分類されるのか。それとも4ナンバー車は対象から外れるのか。

 あくまで検討中という報道だけなので、当然詳細は不明だが、仮に普通車と軽・二輪だけのプラス1000円だとすると、利用距離によっては、特大車より普通トラックのほうが料金が高いといった不合理が生じる。

 大会期間中、鉄道やバスなどで代替の利く乗用車を、首都高からなるべく排除したいのはわかるが、なぜそんな大雑把なことを? と言わざるを得ない。

 大会期間中、首都高でロードプライシングを実施することに関しては理解している。

 いや、むしろ必要だ。それはきわめて特殊な期間(17日間)で、その間は制約が生じて当然だし、個人的には首都高ではいろいろ細かい時間帯別ロードプライシングを実行して、それによって交通量がどう変動するか、データを今後に生かしてほしいと考えている。

 なのに、ETCの利用率が96%に達している首都高で、なぜ「とりあえず1000円!」みたいなずさんな案が検討されている(?)のか。

 まぁ、ロードプライシングが複雑すぎると、利用者が理解できずに交通量抑制効果が狙いどおり発揮されないという懸念もあるが、それにしても大雑把すぎる。これが現金利用車に対するものならわかるが……。

普通車の料金は通常の1.65倍の料金が妥当!

 つまり、現金利用の場合、普通車は通常1300円のところ2300円、軽・二輪は1070円が2070円という。といっても現時点では「検討中と報道された」だけなので、あれこれ細かく指摘するのも無意味なのだが。

 ETC利用車に関しては、少なくとも「日中は通常の1.5倍」とか「2倍」とか、倍数にすべきだ。それだって充分にわかりやすい。

 ただ、普通車の料金を通常の2倍にすると、大型車を超えて特大車(普通車の2.14倍)に迫る水準になる。それはさすがに高すぎるんじゃないか。私としては、大型車の水準(普通車の1.65倍)あたりが適当ではないかと考える。

 今回の1000円値上げ報道から、国や東京都が考えているロードプライシングのレベルを推測すると、この1.65倍くらいではないかという気もする。仮にこれが実行された場合、首都高の渋滞はどうなるか?

 首都高の車種ごとのおおまかな利用比率は、軽・二輪が1割、普通車7割、中型車1割、大型1割(+特大車2%)だ。

 大会期間中は首都高の利用を控えるように事前のアナウンスを実行しつつ、計8割を占める普通車と軽・二輪の料金を1.65倍にすれば、狙いどおり通常より2〜3割交通量が減って、ほぼ渋滞フリーになるのではないか。そのぶん一般道の渋滞がどれくらい悪化するかは心配だが。

 日曜日の首都高は平時に対して約2割交通量が少なく、非常にスムーズに流れる。渋滞はごく一部でしか発生しない。それくらいだと思えばいい。

 日曜日の首都高は、電車利用の半分程度の所要時間で移動できる。新宿から羽田空港まで20分くらいしかかからない。オリンピック期間中の大渋滞を懸念するシミュレーションもあるのだが、私は楽観的だ。

 オリンピック会場には一般客用の駐車場なんて用意されないから、クルマで見に行く人はいない。私は、関係者が「大渋滞の発生が懸念される」と言っているのは、危機感をあおるための作戦だと思っている。

 オリンピック期間中は、ロードプライシングを含め、どんな交通規制だって実行可能だ。この管理大国ニッポンで、大会関係車両が渋滞で困惑するような事態はあまり考えられないし、そんな不手際があっちゃいけないだろうと思うのだが……。