自動車購入時にお世話になるローン。そこで各種ローン利用時に気になるのが審査だ。通らなかったらどうしようなどと考えながらは少々ストレスがかかる。ならば自分で事前審査をしてみればいいじゃないか。ローン審査に使われる計算方法などを詳しく解説していこう。
文/佐々木 亘、写真/TOYOTA
■マイカーローンの審査は機械的
筆者は自動車業界に入る前、金融機関に勤めていた。個人向け融資を審査し、ローンを実行していた側にいたこともある。
個人向け融資は大きく分けて2つだ。住宅ローンのように担保を取る有担保融資と、マイカーローンや教育ローンのように担保を取らずに行う無担保融資だ。
マイカーローンのような無担保融資の場合、多くのケースで保証会社というものが付く。
審査が通るかは、まず保証会社がYESというかどうかで決まるのだ。
この時、あまり込み入った審査は行われない。
住所・氏名・生年月日から、ローン申し込み者の金融事故(長期延滞や強制解約・債務整理など)の有無を調べる。
その後申告された年収から、他のローン情報と申し込みローンを合算した返済比率を調べる程度。非常に機械的で、10分少々もあれば返事が来る。
金融事故の履歴があると、ほとんどの場合ローンの承認は下りない。
事故情報は、3か月以上(もしくは61日以上)の返済遅れ、クレジットカードの利用規約違反での強制解約、などでも記録され、多くの場合5年間は履歴が残ってしまう(自己破産は信用情報機関によっては10年)。
日本の信用情報機関はCIC・JICC・KSCの3団体だ。ディーラーのクレジット契約ならCICかJICC、銀行のマイカーローンならKSCが照会機関となることが多い。
手数料がかかるが、自身の信用情報を開示請求することもできるので、事故情報が残っているのか気になる人は、各社のHPから開示請求へ進むといいだろう。
■返済比率を計算できればローンの審査結果が事前にわかるかも
金融事故の心配が無ければ、あとは返済比率が基準内に収まっているのかどうかを確認するだけだ。
返済比率とは、年収に占める年間のローン返済の割合のことを指す。
お金を借りる人が、しっかりと返済できるのかどうかを判断するための、重要な数値になる。
返済比率を計算する式は以下の通り。
契約する全てのローンの年間返済額÷年収(税込み)=返済比率(%)
例えば、年収500万円で、住宅ローンを毎月8万円(年96万円)、教育ローンを毎月1万円(年12万円)返済している人がいるとする。
この人が、毎月3万円(年36万円)の返済が必要となる自動車ローンを申し込んだとしよう。すると、返済比率はこうなる。
(96+12+36)÷500=0.288
返済比率は28.8%ということだ。無担保・保証会社付きの自動車ローンの場合、返済比率のボーダーラインは30%程度。
今回のケースでは基準内に収まっているので、審査は通る可能性が高いだろう。
自身の組んでいるローンの返済額を合計して、返済比率を計算してみると、審査の通過や否認を見通せる。
もしも、30%を超えるようなら、新しく申し込む自動車ローンの借入金額を少し減らし(頭金を増やして)、返済比率が30%以内に収まるように調整するといいだろう。
ブラックボックスのようなローン審査の内容を少しでも知っておけば、申し込み時の不安が少なくなる。
比率の計算は、賢いローン利用の第一歩にもなるので、覚えておくと便利だ。
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