■ファッション界の巨匠の名をイメージキャラクターに
1981年11月にはターボ車のエンジン制御を電子化するなどの一部改良を実施し、新グレード「ターボメダリスト」が誕生した。この改良時には、驚きの発表も行われた。それがパリ・ファッション界の巨匠、「ユーベル・ド・ジバンシィ」のイメージキャラクターへの起用だ。
ジバンシィ氏が、日本の宣伝キャラクターとして出演するのはこの時のローレルが初のこと。当時の広報資料によれば、「ローレルがその華麗なスタイル、卓越した動力性能などにより真の高級ハイオーナーカーとして不動の地位を確立している実績を高く評価したため」とある。
1982年(昭和57年)9月27日、マイナーチェンジを実施。内外装の変更を行うことで、より豪華に。エクステリアではフロントグリルやフロントランプ、リアコンビネーションランプなどのデザインを変更し、全車を大型バンパー仕様とするなどイメチェンを図った。
内装ではメダリストに高級なダブルラッセル地を使用したほか、全車でメーターパネルやインストルメントパネルなどのデザインを変更し、より上質さを追求。メカニズムでは、シートやミラー角度を記憶できるメモリー機能とデジタルメーターパネルをターボメダリストにオプション化したほか、チルト&テレスコピックステアリングやダイバーシティFM受信システム付きシステムコンポなどを採用。
さらにガソリン直6エンジン車のATを電子制御OD付ロックアップ4速式にアップデートし、高性能化を図っていた。
■ジバンシィ自らがデザインした特別仕様車も設定
そのマイナーチェンジモデルをベースに送り出された贅沢な特別仕様車が、「ローレル ジバンシィ・バージョン」だった。最上級グレードである4ドアハードトップ「ターボメダリスト」(4速AT)をベースに、ジバンシィ氏自ら内外装をデザインしたという。
エクステリアの特徴はブラックとグレーのツートンカラーを纏ったボディに、ジバンシィエンブレムをフードマスコット、フロントグリルエンブレム、オペラウィンドウマーク、リアフィニッシャーエンブレムに採用。
さらにジバンシィ氏のサインをデザインしたフロントフェンダーエンブレムとアルミホイールを装着し、より上質な雰囲気に仕立てた。
内装では、豪華なボタン止めのダブルラッセル地シートに、ジバンシィエンブレムをデザインしたワンポイントを採用。さらにドアトリム、ステアリングにもジバンシィのオーナメントを取り入れ、インストルメントパネルにはジバンシィ氏のサインがデザインとして添えられている。500台限定であった特別仕様車の当時の価格は、255万3000円(東京地区標準価格)とされた。
ジバンシィ・バージョンは好評だったようで、1983年(昭和58年)3月には、第2弾となる「ジバンシィ・バージョンII」が登場。ボディカラーが、ダークグレーとシルバーのツートンに変更された。同仕様は限定400台で、256万3000円(東京地区標準価格)だった。
また、同仕様はジバンシィ氏の創作活動開始30周年を記念したイベントの日本開催では、ジバンシィ氏本人と30周年イベント名誉会長を務めた女優オードリー・ヘップバーン氏の来日中の移動車としても提供されたという。そして、1984年(昭和59年)2月にも最後となる「ジバンシィ・バージョンIII」が限定400台で投入されている。
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