例えば車両本体価格250万円ぐらいの実用車の1年落ち中古車を、総額180万円ぐらいでお得に手に入れる。それはかなり「堅実で賢いお買い物」だといえます。
しかし人生というのは「堅実ならそれでOK」といえるほど単純なものでもありません。人間は、時に「勝負に出る」「でっかい花火を打ち上げる」みたいな馬鹿げたこともしてみたくなる生き物だからです。
それゆえ、時にはこんなことも思ってしまいます。
「新車時は1000万円を軽く超えていたあの高級車が、今や100万円台の格安中古車になっている。……そんな(元)高級車に乗り回すという、でっかい花火を打ち上げてみたいものだ」。
これは冒頭で例として挙げた堅実な買い物とは真逆の、まったく堅実ではない「冒険的な買い物」です。しかし、冒険なだけに、どこか惹かれる部分があるのも事実です。
ということで、「新車時は1000万円を軽く超える高級車だったが、今や100万円台で買える車種」には、はたしてどんなモノがあるのか? 買っても大丈夫なのか? ちょっと真面目に考えたいと思います。
文/伊達軍曹
写真/ベストカー編集部
候補1/ポルシェ911カレラ ティプトロニックS(タイプ996/前期型)
■新車時価格:1070万円
■中古車相場:180万~280万円
■100万円台で狙える年式:1998~2001年式
世界を代表するスポーツカー「ポルシェ911カレラ」だけあって、新車時価格は余裕で1000万円オーバー。
しかし996カレラの前期ティプトロニックSは人気薄なため、中古車は180万円ぐらいから楽勝で探せます。仮に中古車価格が183万円だとすると、新車からの値落ち率は実に83%です。
これだけ安いと思わず買ってみたくなるのが人情というもの。なにせ総額200万円も出せば曲がりなりにも「ポルシェ911オーナー」になれるわけですから。中古車が納車されたら、ぜひ友人の家にアポなしで乗り付けたいものです。
クルマに詳しくない友人であればびっくりして腰を抜かすか、もしくは「お前、何か犯罪にでも手を染めたのか?」と心配されることでしょう。
しかし、安いのには理由がありました。996カレラやターボを除く997型前期モデルに起きるインターメディエイトシャフトの構造上の欠陥という爆弾です。
これを修理するのに150万~200万円かかるといわれています。同じ996型でも後期型であれば、ディーラーのサービスキャンペーンで対策済みエンジンに載せ替えていたりもするのですが、この前期型は対象外で、なおかつ100万円台の格安物件は自主的な対策整備が施されていないことも考えられます。
だからといって「爆弾」は必ず爆発するわけではありません。100万円台の996型前期モデルでも、ぜんぜんフツーに乗れる場合だってあるでしょう。しかし、そうなるかどうかは誰にもわからないのです。
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