【「故障や整備は全部ディーラーへ」に喝!!】クルマの病院の選び方

 いよいよ夏本番となり、お盆休みも目前に迫ってきた。帰省や行楽にクルマを使うことが多くなる時期だが、メンテナンスフリー化が進んだとはいえ、5年以上の車齢であればアチコチが摩耗劣化して、故障する可能性も高くなる。

 ましてや猛暑の渋滞となれば、クルマにとっての環境は最悪。人間も辛いが、出先でクルマが故障すれば、さらに乗員の疲労やストレスは跳ね上がることになる。

 そんな事態を避けるためにも一定以上の車齢が経過したクルマは大事なイベントの前には点検整備をしておいたほうが安心だ。

 しかし整備業者にもいろいろあるが、クルマ初心者はディーラーに任せてしまいがち。

 そこで、提案したいのが3つの整備工場を使い分けること。使い分けることによって適材適所ではないが、それぞれの得意分野を生かしたり、整備費用を抑えることもできる。

 さて、どのようにして3つの整備工場を使い分けるのか、モータージャーナリストの高根英幸氏が解説する。

文/高根英幸
写真/ベストカーWEB Adobe Stock


通常の車検やメンテ、カーライフの相談もできる街の整備工場

普段付き合いのできる地元の整備工場と仲良くしておくといい

 まず紹介したいのは、地元の整備工場だ。少人数で運営している小規模な工場は、どこの街にも存在するだろう。

 後継者不足や保有台数の低下、メンテナンスフリー化もあって、年々事業者数は減少しているが、実はこうした整備工場は意外なほどカーライフで役立ってくれる存在なのだ。

 最新のクルマを整備するにはディーラーが使っている診断機などが必要なため、オイル交換すら難しくなってしまったけれど(その逆にディーラーは高価な診断機を導入していることもあり、どうしても作業工賃は高めになる)、5年以上前のクルマであれば、長年培った整備ノウハウが活かされることで、確実な修理をリーズナブルに行なってくれる。

 できれば地元の知り合いなどからツテを頼って紹介してもらったほうが、信頼できる整備業者に辿り着きやすいだろう。

 整備工場も経営が大変な時代、一人でもお客を獲得しようと、自分たちの強み(地元密着、低価格、丁寧)を発揮してクルマを点検整備、修理してくれるハズだ。

 常連になれればDIYメンテの手ほどきや、困った時のお助けメカニック(もちろん有料だが)として、ディーラーには頼み難いこと、教えてもらえなさそう(そもそもディーラーにノウハウがない)なことも聞きやすい。

 車検もこういうところ(地元の整備工場ならすべてが良心的と断言している訳ではない)で行なってもらったほうが、カー用品店やガソリンスタンド、ユーザー車検代行業者よりも、実際にはリーズナブルで安心して乗り続けられるだろう。

 でも自宅の近くにある町の整備工場がどこにあるのか、わからない場合にはどうしたらいいか? 

 そんな時にはネットで、例えば東京都文京区に住んでいる場合、「東京都文京区 整備工場」といった検索で探すと、たいていの場合はその区域にある整備工場が出てくるはず。

 もしくは東京都の場合には、東京都自動車整備振興会のサイトのなかに「あなたの街のクルマやさん」というコーナーから、お住いのエリアにある整備工場を探すことができる。東京以外でも、各都道府県の自動車整備振興会のサイトから調べられるのでアクセスしてほしい。

●東京都自動車整備振興会のWEBサイトhttp://www.tossnet.or.jp/

ディーラーはお値段高めだが、保証が付いているのも安心

新車で買うとたいていの場合はディーラー任せになってしまうが、長く乗っているクルマや中古車で購入した場合は、必ずしもディーラーに診てもらう必要はないだろう

 お次はディーラーだ。そのクルマを直接販売していなくても、同一メーカー、ブランドであれば点検整備や修理は受け付けてくれる。

 自分のクルマが現行モデルではなくなると、代替えを薦められるとか、なんとなく敷居が高いとかディーラーへは足が遠のく人も少なくないが、もちろんディーラーでメンテナンスを受けるメリットはある。

 まず保証対象での修理やリコールの対応ができるのは、ディーラーだけだ。リコールというと使用者にハガキでお知らせが来て、ディーラーに行くだけだと思っているだろうが、実際にはリコール扱いにならないリコールというものもある。

 通称サービスキャンペーンと呼ばれるもので無料点検として入庫されたり、車検整備の時にユーザーが気付かないまま改善されていることもあるので、ディーラーに入庫歴があることは大事だったりするのだ。

 それにディーラーでの整備や修理には保証がある場合が多い。勘違いしてほしくないのは、街の整備工場での修理は保証が一切ない、という意味ではない。

 整備や修理後に同様のトラブルが起これば、状況に応じて工賃などを免除してくれる工場もある。また純正部品を使えば部品に対する保証が受けられることもある。

 最近、よくいわれているのが、ディーラーのサービス現場は若いメカニックが多く、修理のノウハウはあまりなく、マニュアル通りの部品交換をさせられるだけの作業で、メカニックにノウハウが残りにくいこと。

 もちろん、これがすべてのディーラーに当てはまるわけではないが、そういう傾向が増えてきているのだろう。

 それは昔と比べ部品の管理を簡素化するためにパーツをアッセンブリーで供給するようになっており、パーツ自体も生産効率や信頼性を高めるためにモジュール構造になっていることも影響しているのだろう。

3つめは専門分野のスペシャリストがいる専門店

専門分野にノウハウを持っている専門店も知っておくと、いざという時に頼りになるだろう

 輸入車ユーザーであれば専門店を利用することも覚えておきたい。整備工場にはメルセデスベンツを専門にメンテナンスする、BMW、ポルシェを専門にメンテナンスするといったタイプの業者もいる。あるいはアメ車専門、欧州車専門といったスタイルで昔から営業を続けている整備工場もある。

 またAT専門の修理業者も存在する。変速機の故障は、ディーラーでは基本的にリビルド品への交換しかない(オーバーホールすると作業工賃が跳ね上がり、時間もかかるので結局ユーザーもその方が得)のだが、症状によっては部分修理で対応できる故障もあり、そういった工場に依頼すればディーラーの見積もりよりはるかに低額で修理できる場合もある。

 例えば、過去にはエアサスのコントロールモジュールユニットを丸ごと交換するしかディーラーでは修理できなかったものが、特殊なOリング1つで問題を解決してしまった専門店もある。

 その修理費用の比較は、あえてここでは書かないが、保証問題などを考えるとメーカー推奨の修理しかできないディーラーではできない解決法といえよう。

 昔からやっている整備工場の中には、熟練のメカニック、電装系などのスペシャリストなど、長年の経験と独自のセンスで鮮やかに修理してしまう匠がいることが珍しくない。本当の修理というものを今なお実現してくれるのだ。

 実はディーラーの診断機ではトラブルの原因が掴めない、原因不明のトラブルというのも存在し、そうなるとこういうショップに修理を依頼しているケースもあるほどだ。

 ただし、その専門店が扱っている車種だからと、何でもメンテナンスはその整備工場に任せっきりなのは、維持費用軽減にはつながらないこともあるので注意したい。

町医者、大病院、クリニックの感覚で使い分けを!

 こうした整備工場の使い分けは、人間でいえば町医者、大病院、クリニックなどの専門医を使い分けるということに似ている。

 だからとりあえず何でも気軽に相談できる、町医者的な存在の整備工場を見つけることが大事なのだ。

 最近は国産車でも5年程度の残価設定ローンやメンテナンスパッケージを用意して、ユーザーの囲い込みを図っている。

 だから新車から5年はディーラー任せという人も多いし、そのサイクルで買い替えるパターンも当然アリだ。

 適材適所ではないが、3つの整備工場を使い分けて、なるべく安く上手に維持していくことができれば、クルマ生活が豊かなものになるはずだ。

 最後に3つの整備工場と、それぞれの使い方についてまとめたので見てほしい。

●地元の整備工場/確実な整備がリーズナブル、困った時のお助けメンテ的なつきあいができる
●ディーラー/ 整備や修理に保証が付き、リコール対応ができる
●専門工場/長年の経験と独自のセンスを持つスペシャリストが難しい整備や修理をこなす

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