20年以上経った今でも町で見かける機会が多いミラジーノ。ヨーロッパ風のデザインが絶妙なクルマだが、実はこのクルマには普通乗用車が存在していたのだ、その名もミラジーノ1000。当時の軽スポーツの概念を覆したことは間違いないが一体どんなクルマだったのだろうか?
文:小鮒康一/写真:ダイハツ
■輸出用モデルにジーノ仕様に改めたモデル
軽自動車といえば日本独自の規格であり、限られた排気量とボディサイズ、乗車定員などの制約がある代わりに税制面で優遇されるため、日常のアシからビジネスの相棒まで、幅広いユーザーに高い支持を集めているものだ。
そんな軽自動車は前述のように最大の排気量が決められている(現在は660cc)ため、装備が充実して車両重量がかさんでしまったり、速さを求めたりした場合は、必然的にターボに頼ることになるのが一般的だ。
しかし、そんな常識を打ち破り、660ccを超えるエンジンを搭載してしまったモデルが存在する。それがダイハツが2002年にリリースした「ミラジーノ1000」である。
このミラジーノ1000は車名の通り、1999年に登場して人気を博した軽自動車であるミラジーノをベースに1000ccのエンジンを搭載したもの。
当然ながら排気量が軽自動車枠を超えているため普通車となるのだが、ボディシェル自体は軽自動車のミラジーノと全く同じで、フェンダーアーチモールやバンパーオーバーライダーを備えたことでわずかに軽自動車サイズを超えるものとなっていただけ。
■インテリアは通常のミラジーノと一緒だ
インテリアももちろんミラジーノのままとなっており、搭載されるエンジンの違いと普通車ということで、タコメーターとスピードメーターのスケールが異なっている以外の変更点はなく、乗車定員も4名のままとなっていた。
そして搭載されるEJ-VE型の989ccエンジンの最高出力は64PS/9.6kg・mと、ミラジーノのターボモデルの64PS/10.9kg・mを下回っており(車両重量は同一)、当時のダイハツのリリースにある「1000ccエンジンを搭載して、余裕の走りを実現」という謳い文句がむなしく響くだけだったのだ。
気になる価格もミラジーノ1000のエントリーモデルの価格が108.5万円なのに対し、ミラジーノのターボモデル(4速AT)は108.8万円と3000円の違いしかなく、自動車税や有料道路代の差額であっという間に回収できてしまうレベル(ちなみに燃費性能は両車とも18.8km/Lと同一)。
ダイハツとしては海外向けのミラ(現地名クオーレ)が1000ccのエンジンを搭載しており、外装を当時人気だったジーノに仕立てた上でどのくらい売れるのかというテストも兼ねてリリースしたのかもしれない。
が、登録車を買うメリットがほとんど見当たらないミラジーノ1000は当然のように売れることはなく、わずか2年3か月、1300台弱の生産台数をもって姿を消すこととなってしまった。
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