環境対応への遅れが致命的
対するエルグランドはどうであったか。10年近くも世代交代せずマイナーチェンジ、一部改良、特別仕様車の設定など小手先の改良で対応して来たため、販売を回復させることができていない。
低燃費、環境志向の強まりのなかでアルファード/ヴェルファイアは2.5Lハイブリッドモデルの投入でアピールしているが、エルグランドはノーマルのガソリンでしか対応できていない。
こうした技術開発の遅れもエルグランド凋落の大きな要因のひとつになっている。アルファード/ヴェルファイアは2.5フルハイブリッド、オデッセイは2Lフルハイブリッド、デリカD:5は2.3Lクリーンディーゼルターボと環境対応ユニットを搭載することで、エルグランドを上回る販売を維持している。
次期型はハイブリッドで攻勢をかける
次期型の登場は必ずあるとの販売店筋の見方は強い。
日産首脳も最近のコメントで、「エルグランドは現在のままではマーケットで戦えないのでなんとかしてほしいとの販社からの声は届いている」と打ち明けている。
想定する次期型のコンセプトは、「アルファード/ヴェルファイアに匹敵するないしは超えるハイクオリティ、より押し出しの強いエクステリアデザイン、使い勝手、走行性を盛り込んだ仕立てとする」ことは間違いない。
パワーソースは標準タイプがモーターアシストの2.5Lマイルドハイブリッド、これに3.5L+モーターの2クラッチのフルハイブリッド、1.2Lのe-POWERが予想される。
e-POWERは日産が「2022年までに5車種の商品ラインアップを整える」ことを明らかにしている。現在、ノート、セレナに搭載しているのであと3車種存在する。
新型ジュークへの搭載がほぼ決まりであと2車種が残っている。次期型エクストレイルとエルグランドが有力になっている。
エクストレイルは2Lフルハイブリッドを搭載、今後PHEVの搭載を予定しているのでe-POWERはないのではないかとの情報もある。となると次期型エルグランドがより可能性大となる。
同ユニットは今後、専用エンジンやモーター、バッテリーの改良が行われるので、エルグランド用は新開発ユニットの搭載も期待できる。
証言/首都圏日産店営業担当者
エルグランドのニーズは現行モデルでもかなりあると認識している。
現行アルファード/ヴェルファイアはどぎついマスクが売りになっている。若者や男性ユーザーには人気が高いいっぽう、女性ユーザーには毛嫌いされ、エルグランドを購入するユーザーが多い。
つまりアンチトヨタユーザー向けを意識したエルグランドの次期型を開発し投入すれば復活できるはずである。
パワーユニットは2.5Lハイブリッドに加えてe-POWERの搭載、最新の安全対策、自動運転支援デバイスの「プロパイロット」の標準装備を期待している。
エルグランドの次期モデルは2020年か2021年の発売の可能性が強い。
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消滅の噂の絶えないエルグランドだが、 販売会社の証言からも次期モデルは確実に存在する。しかも現行モデルの失敗を教訓に環境対応、質感の向上のほか今のクルマでは必須の先進安全装備を充実させて登場することは間違いない。
堕ちたパイオニアがどのように復権するのか楽しみだ。
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