ラジコンカーでもエンジンを搭載したモデルは非常にハイエンドなカテゴリーに分類される。一般的には1/10もしくは1/12というスケール感だが、今回紹介するモデルはなんと1/5スケール。
巨大なサイズ感に圧倒されるが、なんとエンジンがスバルに関係しているらしい。こだわりぬいた1台をじっくり紹介したい。
文:ベストカー編集部/写真:三矢研究所
ベストカー2016年8月10日号
スバルの血統を継ぐラジコン!?
今回紹介するラジコン「スケールスポーツ」はなんと1/5スケール。5mの全長のクルマならラジコンで1mもある。実際の大きさはおおよそ全長700×全幅400×全高230㎜。重量は約10㎏もあるにもかかわらず、最高速度は60㎞/hも出るというから驚きだ。
お値段はフルキットで約22万円と少し財布には厳しいがそれでもこのスケール感は満足度も大きい。
そのラジコンをタイヤにいたるまで開発しているのが、玩具メーカーなどではなくセキュリティ機器を開発している会社だという。開発、製造をしている(株)三矢研究所に聞いてみた。
「このラジコンカーは〝スケールスポーツ〟というカテゴリーです。製品名は〝524R〟です。じつは2005年の発売なのでかれこれ11年目ということになります」
いやはや、そんな昔からあったとは。しかもエンジンにはかなりのこだわりを持っているそう。
「エンジンは自動車メーカーも含めて数社に声をかけましたが、唯一前向きな返事をくれたのがスバルの系列会社の富士ロビン(株)【現:(株)マキタ沼津】でした。しかもラジコンに載せられる4ストロークエンジンがあるというんです」
これには全国のスバリストは大歓喜。4ストロークエンジンの「524R」の燃料はなんとレギュラーガソリンでOKだという。
模型用エンジンで一般的なグロー燃料ではないので音も静かで、アイドリングも安定するというのが大きなポイント。さらにスペックも凄まじくOHVの25㏄で最高回転数は1万1000回転!! スペックは1.1㎰/7000rpmとのこと。
なぜセキュリティメーカーがラジコンを?
それにしてもセキュリティ機器のメーカーがなぜラジコンなのか。同社総務部の田中万隆氏に聞いてみた。
「弊社社長が開発当時は一般的だった壁に据え付けの警報機器が、近い将来必ず移動するようになると考えていました。警備機器が動けば警備ロボットになります。そこで〝動く技術〟のノウハウをしっかり持っておこうというのが開発のキッカケです」
すごい志だ。もちろん社長がラジコン好きだったというのは大前提にあるだろうが、それをちゃんとビジネスにつなげている。
「524Rにも使われているタイヤは特許を取得していて、60㎞/hで壁に激突しても壊れない構造です。溝のないスリックタイヤですが、雨でも走行できるコンパウンドの配合なんです。その実力が認められ、公的施設のコンシェルジュロボットのタイヤとして採用されています」
ちゃんとラジコンのノウハウを実業に結びつけているのだ。1/5というスケールもロボットへの技術転用を考えると、大きめがいいということから決まったそう。
最後にクルマ雑誌掲載は初となる情報を教えてくれたぞ!! じつは新モデルの製作が決まっていてホンダの「S800」になるそうだ。しかもエンジンもホンダ製のものを搭載予定。そうなるとRC界では世界初の「Powered by HONDA」が実現!! 実車と同じメーカーが作ったエンジンで走るラジコンカーの今後に期待したい。
コメント
コメントの使い方