税制・人材・国際連携をどう進める
読者目線で最もインパクトが大きいのが自動車税制についての議論だ。取得時課税の環境性能割が廃止方向で議論されている点に触れつつ、自工会としてはここからさらに「簡素化」「ユーザー負担軽減」「目的の明確化」の3本柱を軸に、保有時課税も含めた議論を続ける姿勢を示した。「クルマの買いやすさ」に直結するテーマゆえ、ここは今後の具体案と説明の巧拙が問われる。
人材についても言及があった。佐藤会長が「日本のものづくりの中心ど真ん中は人」「安全と品質を守り続けているのは人材」と強調したうえで、賃金以前に「自動車産業に入ってもらう入口」を広げる必要を語った。
いまだに「きつい、きたない、危険」という、いわゆる「3K」のイメージがある自動車業界。これを払拭して優秀な人材を集めるため、勤務地・労働カレンダーなど根源的な設計を変えなければ「最初のゲート」をくぐってもらえない、という危機感だ。
さらに三部副会長はAIを前提にした人づくりの必要性を指摘。コーディングの在り方が変わり、ソフト人材の需給も動く中で、過去の言い方をアップデートしなければならない——「人材」を数の議論(たくさん集まればいいんでしょ、という目的)で終わらせない方向性が見えた。
最後に国際連携。佐藤会長は、欧州規制や米国動向を踏まえ「世界の自工会との連携をもっと深める必要性」を述べた。たとえば米国自動車工業会、たとえば欧州自動車工業会と、日本自動車工業会はもっと交流を深め、連携してモビリティ社会全体の輪を広げてゆくという構想だ。
現在、世界中の各地域で規制や制度が変わってゆく中で、情報の共有・協調はまだ不十分。まずは会話を始め、進展を共有していくという。
副会長陣からは、日本国内のマルチエネルギー供給(たとえば欧州のガソリンスタンドでは、ガソリン・軽油以外にも、BEV用充電設備、CNG・エタノール供給ノズルが並ぶ)を引き合いに出し、「日本こそ足元の整備を進め、産業をまたいだ横串を強めるべきだ」との問題提起も出た。
2026年1月に日本自動車工業会の会長に就任した佐藤恒治社長。最初に開いた理事会とその後の記者会見で、これほど大量の情報が出てくるとは思っておらず、集まった記者陣も驚いた…というのが正直な第一印象。
まあしかし考えてみれば、トヨタ、日産、ホンダ、スズキ、いすゞ、ヤマハの社長・会長が揃って会見し、理事会ではこのメンバーにスバル、マツダ、三菱、ダイハツ、日野、三菱ふそう、UDの社長も加わって話し合いが行われているのだから、時間効率や機会効率を考えれば、毎回これくらい「実」のある話が出てくるはずでもある。
いまモビリティ社会が直面している課題はあまりにも大きく困難だが、一方でその課題を細かくバラし、解決に向かうための巨大な歯車が回りはじめた、という手ごたえもある。「日本の自動車産業が日本の元気につながるように」、とてもいい言葉だ。応援しつつ、次回以降の発信に期待したい。
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