1000万円超の消防車&救急車が破格出品! 知られざる官公庁オークションの世界

■特殊車両は個人でも入手可能?

 それにしても、消防車や救急車などの特殊車両を、一体誰が落札しているのだろうか。豊岡市では、落札者についてはコメントできないとしたものの、個人と業者の両方が含まれるようだと教えてくれた。つまり、個人での参加もOKなのだ。

 出品される車両については、事前に内覧会が実施されるが、確認に来るケースは、まれだという。ほとんどは電話での問い合わせのみ。ただ細かい部分まで質問されることもあるそうだ。

 また、その後の活用方法についても不明とのこと。筆者自身の経験では、凍った湖を活用する施設でレッカー車として活躍する元消防車を目撃したケースがある。それ以外の活用例としては、消防車や救急車の配備が義務付けられている施設での活用や、業者による海外への輸出などが予想される。もちろん、個人的に、趣味や仕事に活用している人もいるはずだ。

消防車はポンプ車やはしご車、化学車など機能や装備によって大きく異なるが、新車ではポンプ車が1300万円〜、タンク車が1600万円〜、はしご車は15mクラスで5000万円〜、40mクラスで1億8000万円〜もする。オークションには、40mクラスのはしご車で40万円という掘り出し物もある
救急車は10~50万円で出品されている。新車では、トヨタ「ハイエース」ベースの救急車が標準仕様で500万円台、ハイメディックという高規格仕様で1100万円だが、搭載する医療器材を含めると1500万円程度かかるので、2000万円程度が相場。現場で使用したとはいえ、破格であることがわかる

 ほかの出品する地方自治体にも問い合わせたが、豊岡市同様、役目を終えた公用車を出展し、財源確保の取り組みのひとつとしているとのこと。入札者が見学に来るケースもまれで、確認が電話のみというのも同様であった。

筆者が女神湖(長野県)で撮影した、サファリの元消防車と思われる車両

■貴重な収入源となる官公庁オークションは終わる!?

 行政機関のための新たな収入源のひとつへと成長を遂げた「YAHOO! 官公庁オークション」だが、運営する「YAHOO! JAPAN」は、2021年3月で同サービスを終了することを発表し、既に参加する行政機関への通知が行われている。

 企業として、収益性があまり高くないモデルという判断が下されたようだ。ただ単に終わらせてしまうわけでなく、異なる形での対応が検討されているようだ。話を伺った豊岡市でも、2021年度以降の対応は、今後検討していくとのことだ。

 2020年でひとつの終止符を迎える官公庁オークションには、日用品として使えるものや乗用車も出品されることがあるので、参加してみるのも面白いだろう。

 ただ、もし個人で、救急車や消防車などの特殊な公用車に入札する場合は、緊急車両向けや専用装備などが取り外されることがあることを忘れずに。赤色灯やサイレンアンプなどは取り外されており、基本的に車体のみの売却となるからだ。とはいえ、ポンプ車や清掃車など車両と一体化した機能はそのままとなる。

 また引き渡し時は、現状となり、運搬などの手配も落札者の責任で行わなくてはないので、ご注意を。

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