20年ほど前までは、4WDといえばオフロードSUVで、駆動力を高められる副変速機付きの4WDシステムが多かった。
しかし、今のSUVは、乗用車系のプラットフォームに前輪駆動をベースにした4WDを搭載する。電子制御式の油圧多板クラッチにより、前後輪に駆動力を配分する方式が中心だ。
(通常走行時は前輪もしくは後輪の二輪に主に駆動力を伝え、不安定な路面でタイヤが滑ったりドライバーの任意のタイミングで適切に四輪へ駆動力を配分する。この駆動力を配分する仕組みを「オンデマンド4WD」という)
これはセンターデフ式と違って舗装路を2WDに近い状態で走るから、走行時の抵抗が抑えられ、4WDシステムの重量も軽いために燃費を向上させやすい。
本企画では性能システムの使い勝手、価格に対するメカニズムの「凝り度」などを考慮して、現在世の中に出ている「オンデマンド4WD」のシステムランキングをお届けしたい。
文:渡辺陽一郎
ベストカー2017年10月10日号
■1位 マツダi-ACTIV AWD
このタイプで最も注目されるのがマツダのi-ACTIV AWDだ。横滑り防止装置などの各種センサー、パワーステアリングが検知する路面摩擦反力、外気温度、ワイパーの作動状態などを含め、いろいろな情報を組み合わせて路面の状態を検知する。
これに基づいて多板クラッチを常に最適制御する仕組みとなっている。
例えば停車中に雪が降り始めた場合、車両は急激に下がる外気温度を検知して、少しでもハンドルを切れば、その反力から路面の摩擦状態も把握する。
従って降雪に見舞われていることがわかり、前後の駆動系を直結状態に近づけるから、スリップを発生させずに発進することが可能だ。
滑りやすい路面であれば、2WDに比べて駆動力の浪費が抑えられるため、むしろ4WDのほうが燃費がいいこともある。
■2位 スバル アクティブトルクスプリットAWD
2位はスバルのアクティブトルクスプリットAWD。X-MODEを備えたタイプなら、スイッチを入れると空転を生じたホイールに即座にブレーキがかかり、グリップ力を取り戻す。
ヒルディセントコントロールの機能も備わっており、滑りやすい下り坂を走る時に使うと、ブレーキが4輪を独立して自動制御される。ゆっくりと安定して走破することが可能で価格も求めやすい。
コメント
コメントの使い方