2018年2月28日発表、3月1日発売となった、日産の今年最大の目玉車種セレナe-POWER。
2016年末にノートに追加された時点で車種別月販台数1位にまで押し上げたe-POWERが、もともと売れていたセレナに追加されるということで、全国の日産ディーラーは登場を待ちわびていた。
発売から約20日、評判や売れ行きはどうか? そして何よりセレナと壮絶な販売合戦を繰り広げているライバルのトヨタヴォクシー/ノア/エスクァイア、ホンダステップワゴンの動向は??
毎日多くの自動車ディーラーを回り「生」の声を届けてくれる遠藤徹氏に取材してもらった。
(装備名に一部間違いがありましたので修正いたしました。大変申し訳ありませんでした 2018.3.25 8:35)
文:遠藤徹 写真:池之平昌信
■ハイウェイスターがe-POWERのうちの8割
2018年3月1日、注目の日産「セレナe-POWER」がついに全国の日産ディーラーで販売開始となった。
受注ピッチは順調で、3月下旬現在の納期は2.5ヶ月待ちの6月上旬となっている。推定受注累計台数は約1ヶ月で1万台を突破したようだ。
セレナe-POWERのグレード構成と価格は以下のとおり。
◎ e-POWER X 296万8920円
◎ e-POWER XV 312万8760円
◎ e-POWER ハイウェイスター 317万8440円
◎ e-POWER ハイウェイスターV 340万4160円
【参考】
◆ X 2WD 248万9400円
◆ ハイウェイスター 267万8400円
販売の中心グレードはハイウェイスターのベーシックタイプで、最上級のVタイプを含めたハイウェイスター構成比は全体の80%を占める。
セレナシリーズ全体のe-POWER販売計画は40%に設定しており、月販8000台計画のうちの3200台になる計算。
これだと少なめのようだが、ヴォクシー/ノア/エスクァイア、ステップワゴンスパーダといったライバルたちのハイブリッド構成比は「約30%」であることを比べると、それより10ポイント高い目標となる。
約48万円高の価格設定を考えると、かなり強気といえる。
■強気の日産ディーラー、値引きはゼロスタート
メーカーや系列店の日産&日産プリンス店は大変な力の入れようだ。
全国約3000の販売拠点に最上級のe-POWERハイウェイスターVを試乗車として配置し、見込み客には片っ端から実際にハンドルを握ってもらって、そのよさを知ってから商談に入る作戦で臨んでいる。
また現状では受注残を多数抱えていることもあり、強気の姿勢で売り込みを強化している。
「車両本体からの値引きはゼロ、オプションパーツの装備分を含めても10万円引きが限度ですね」
と首都圏ディーラーの(値引き)ガードが固い。
2018年2月の月間登録台数は、セレナが1万408台で早くも大台を突破。同カテゴリーを見回すと、このセレナに次いでヴォクシーが7980台、ステップワゴン6573台、ノア5865台、エスクァイア3802台の順となっている。
セレナがすでに先頭で突っ走っており、このまま2018年上半期を駆け抜けそうな勢いを感じさせている。
ただライバル他車は手をこまねいて見ているわけにはいかない。商談の現場で競合した時に備え、セレナe-POWER対策を練っているとのこと。
「セレナe-POWERは出足が好調なようだが、予想したよりも価格が高く、燃費もそれほどよくない。走りのスムーズさではヴォクシーのほうが上だ。低重心で運転のし易さ、取り回しの良さで勝負したい」(首都圏トヨタネッツ店)
「セレナe-POWERに乗ってみたが、しばらくアクセルを踏み込んで走ってからアクセルを離すと急に回生ブレーキが利いて違和感を覚える。後ろから来るクルマが驚いてぶつかりそうにならないか心配だ。
ステップワゴンスパーダハイブリッドとしては、スムーズでパワフルな走り、室内の広さ、ロングホイールベースによる高速での安定性、わくわくゲートによる荷物の出し入れの利便性などを強調し、売り込みを強化したい」(首都圏ホンダカーズ店)
と、それぞれ対抗心をあらわにして競合商談に備えている。