かつて「トヨタ・マーク2」といえば日本セダン界におけるスーパースターでした。マーク2/チェイサー/クレスタの三兄弟でハイソカーブームを牽引し、80年代後半には3台合わせて月販4万台以上を販売するという快進撃を続けたものです。
しかし時代は移り変わり、後継車のマークXへとバトンタッチしてから徐々に人気は下降。一時期、俳優の佐藤浩市さん演じる「部長」のCMが話題となって人気を盛り返すも、2018年3月の月販台数は675台、4月はなんと252台と低迷。いったいマークXに何が起こったのでしょうか。
「すでにモデル終了の告知が販売店に回っているようだ」と語るのは、流通ジャーナリストの遠藤徹氏。これにはトヨタ全体の、セダン再編成戦略に深い関係があるといいます。
以下、「トヨタのセダンはどうなるのか」、詳しい話を伺いました。
文:遠藤徹氏
ベストカー2018年6/10号「噂の深層」より
■マークXはこのまま消滅するのか?
マークXは、今年中か来年中頃にはモデル消滅が濃厚になっている。どのようなかたちで発表されるかは不明だが、「ファイナルエディション」のような特別仕様車が設定され、受注をとって終了……という方法が有力だといわれている。
取り扱い販売店であるトヨペット店系列にはすでに「現行モデルは生産終了、次期モデルはなし」という内容が通達されており、販売台数は急下降している。
最近は2017年7月に新型カムリが新規扱いモデルとして発売されたことで、余計に売れなくなっており、各販売店では「FFとFRの違いはあるが、どうせ近い価格帯で近いコンセプトなら新しいほうが売れる」ということで、積極的にカムリを販売。実質的に顧客はカムリへ引き継がれたと考えてよいだろう。
■合わせてプレミオ/アリオンも消滅か?
同じく次期型の開発ニュースが一向に入ってこないプレミオ/アリオン。どうなるのか現段階では明らかにされていないが、次期型の開発プロジェクトが動いていないのは確実のようだ。
しかしこのモデルのポジション(5ナンバーサイズの1.5〜2.0Lセダン)はトヨタにとって必要と思われる。プレミオ/アリオン両モデルを廃止し、次期型カローラベースの新型世代を発売する可能性は残されている。となると新開発の2L、NAガソリンと同ハイブリッドを搭載することになるかもしれない。
■「トヨタのセダンはレクサスに統合される」という噂もあるが本当か?
トヨタ製のセダンがレクサス中心にシフトする可能性はあるが、統合されることはないと思われる。ハンドメイドのセンチュリーは別にして、クラウン、カムリ、カローラアクシオはほぼ確実に残ると考えてよい。
レクサスのクルマづくりはベンツ、BMW、アウディに対抗できるプレミアムブランドの構築にある。車両の価格帯は400万~1000万円となるので、これ以外はトヨタブランドがカバーすることになる。クラウンは多少その価格帯とダブるが、なにしろトヨタの顔であるから、残すということだろう。
■カムリの販売がそこそこ好調の理由は?
トヨタの次世代クルマづくりの考え方を体現する新プラットフォーム、TNGAを採用、新開発の2.5Lハイブリッドを搭載、見栄えのよいエクステリアデザイン、ハイクォリティなつくりと走りのポテンシャルの高さ、ひろい室内などが売りになっているのが好調の要因だ。
従来はカローラ店の専売であったのが、4系列店併売でセールスパワーが約4倍になったので、好調に売れているのは当然といえる。ただこれが今後もずっと売れ続けるとはかぎらない。見込み客が一周して、新型としてセールができなくなってくる発売2年目以降にならないと、正確な評価はできないといえるかもしれない。
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