なぜ!? あのクルマがいない事情と本命 日本カー・オブ・ザ・イヤー10ベスト発表

なぜ!? あのクルマがいない事情と本命 日本カー・オブ・ザ・イヤー10ベスト発表

■トヨタ車が2台入賞した「10ベスト」

2018年11月7日、「2018-2019日本カー・オブ・ザ・イヤー 第一次選考会」が実施され、全27台のノミネート車の中から、最終選考会に進む上位10台の「10ベストカー」が選出された。

本日選出された10台は以下。この10台の中から12月に、大賞となるイヤーカーが改めて選出される。

【10ベストカー】
・スバル フォレスター
・トヨタ カローラスポーツ
・トヨタ クラウン
・ホンダ クラリティPHEV
・マツダ CX-8
・三菱 エクリプスクロス
・アルファロメオ ステルヴィオ
・BMW X2
・ボルボ XC40
・VW ポロ(GTI含む)

選考レギュレーションは、2017年11月1日〜2018年10月31日に発表または発売され、年間販売台数が500台以上見込まれている乗用車。(メーカー側からの自主辞退を除く)ノミネート車27台から、第一次選考として選ばれた上位10台が、上記「10ベストカー」となった。

(なお個別の部門賞である「イノベーション部門賞」、「エモーショナル部門賞」、「スモールモビリティ部門賞」は、この10台に限らず、ノミネート車27台から改めて選ばれる)

■あの「風雲児」が不在となった事情

多くの方が気になっているのは、「本命視されるであろう【あのクルマ】がいないのはなぜ??」だろう。

そう、今年7月に発売されるや大ヒットを記録し、生産ラインの拡充を発表するまで「納期1年待ち」とも伝えられた2018年の風雲児、「新型ジムニー&ジムニーシエラ」がノミネートされていないのだ。

これは2018年8〜9月に発覚した検査データ不正問題を受け、スズキ側からエントリーを辞退したから、という事情がある。

うーん、なるほど。

エントリーしていれば、間違いなく「本命」であったし、「スモールモビリティ賞」は確実だっただけに、惜しい

検査データ不正については真摯に反省し、再発防止に努めていただきたいが、それとこれとは別問題としてほしかった…。

また、無資格者完成検査問題で昨年のエントリーを辞退した日産とスバルだが、まず日産は今年、追加モデルとして3月発売の「セレナe-POWER」をエントリー。こちら、販売台数としては充分注目に値するニューモデルだが、メカニズムとしては新しいものではなく、また画期的要素に欠けるため、「10ベスト」への選出には至らなかった。

スバルは6月発売の「新型フォレスター」がエントリーし、キープコンセプトながら久々の新型車であること、「e-BOXER」搭載など新技術搭載もあり、10ベストに選出された。

昨年度は無資格者完成検査問題で辞退したスバル。今年はフォレスターで「10ベスト」入り。おめでとうございます

三菱にとっては約4年ぶりの新型車となるエクリプスクロスも「10ベスト」入り

■となると大賞の本命は…?

さてでは「ジムニー不在」となった今年の大賞(イヤーカー)は、どのモデルが本命となるのか?

常識的に考えれば、日本市場の大黒柱、国産セダンカテゴリーの最後の砦となっている第15代目「クラウン」で決まりなのだろうが、しかし今年の「10ベスト」にはちょっとした異変があった。例年、原則として1メーカー1モデルが選ばれる10ベストに、トヨタ車が2台エントリーしているのだ。

これまで「レクサス車」として「トヨタ車」と並んで選ばれることはあったが、「トヨタ車」が2台選出されるのは異例のこと(2006-2007シーズンにダイムラー・クライスラー日本からベンツEとベンツSが2台選出された実績があるが、国産車では2002年に現行の体制になってから初)。

なぜ異例かというと、「票」が割れることを恐れてメーカーが候補を一本化したがるからだ。

普通に考えれば、大賞(イヤーカー)の大本命はクラウンであり、ライバルを考える必要もないのだが…

今回でいえば、例えばトヨタの「コネクティッド技術」を評価したい選考委員は、(どちらにも搭載されている)「クラウン」に多く点数を入れるか、「カローラスポーツ」に入れるかで、迷う。迷って票が流れた結果、第三勢力に有利に働く可能性がある、という仕組み。

ちなみに昨年度の10ベスト選出(いわゆる第一次選考)では、トヨタは「カムリ」と「C-HR」がノミネートされたものの、「カムリ」のみが10ベストに残り、結果カムリは(ボルボXC60、BMW5シリーズの後塵を拝し)3位に沈んだ。

もちろん今回、トヨタ車が2台、10ベストに残ったのは事情がある。

前述のように、スズキが不在。さらに日産、ダイハツのエントリー車が弱く(セレナe-POWERやミラトコットでは大賞は望めない)、またホンダも、今年もっとも力を入れた新車N-VANが商用車であるためエントリーできず、「クラリティPHEV」で「イノベーション部門賞」を狙っている…という状況が、この10ベストのラインアップの背景にある(やや生臭い話ではあるが)。

ホンダは「N-VAN」が商用車のためエントリーできず、クラリティPHEVが10ベスト入り。しかしさすがにこのクルマで大賞は狙えないだろう…

ただしかし、もし今年、クラウンとカローラスポーツで票が割れるようなことがあれば、ボルボXC40やBMW X2がスパッと大賞をさらっていく…なんてシナリオも、ありえないとは言えない(ボルボXC40もBMW X2も、すごくいいクルマではあるのだが、しかし2年連続輸入車、それも約700万円のXC60に続いて約500万円のXC40やX2が受賞…というのも抵抗が…)。

トヨタの「もう一台の10ベスト車」であるカローラスポーツ。いいクルマであるのは間違いないものの、やや影が薄い気が…

ともあれ、大賞の最終選考会および表彰式は2018年12月7日。今年、日本市場を代表する新型車はどのモデルになるのか。楽しみに待ちたい。

選考委員(自動車ジャーナリストを中心とした60名)によって「好み」に差が出るが、クルマとしての評価はおおむね高いボルボXC40。「1位に選ぶのは気が引けるが、0点を付けるわけにはいかない」という理由で点数を重ねるのが得意。今回もそういう点数を集めて上位に食い込む可能性は高い

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