【ディンゴ Jフェリー WiLLサイファ…】志半ばで消えた「ざんねんなクルマ」を買うには!?

【ディンゴ Jフェリー WiLLサイファ…】志半ばで消えた「ざんねんなクルマ」を買うには!?

 新車で販売されていた当時、見向きもされずに、不人気だったクルマたち。その生い立ちは儚くもあり、哀しくもあるが、なぜか憎めないキャラクターのクルマばかりでした。

 そこで、ここで改めて、そうした「ざんねんだけど なぜか憎めないクルマたち」は今どうしているのか? ひょっとしたら高値で取引されているのか? 興味津々、ワクワクしながら探してみた。

文/伊達軍曹
写真/ベストカーWEB編集部

【画像ギャラリー】ざんねんだけど なぜか憎めないクルマの詳細写真


ざんねんなクルマ1/オートザムレビュー

■1990年9~1999年4月
■現在の生息状況/ほぼ絶滅寸前 全国に1台 23万円

丸みを帯びた外観が特徴である。極端に短いトランクを持つスタイルから「2.5ボックス(ショートノッチバック)セダン」とも呼ばれていた。 電動キャンバストップ車も設定されていた
丸みを帯びた外観が特徴である。極端に短いトランクを持つスタイルから「2.5ボックス(ショートノッチバック)セダン」とも呼ばれていた。 電動キャンバストップ車も設定されていた

 1990年9月に発売されたオートザムレビューは、全長わずか3.8mというかなり小ぶりなボディに無理やりトランクを付けて「フォーマルな(?)セダンボディ」に仕立てたコンパクトカーです。

 当時のマツダが展開していた計5つの販売チャンネルの1つである「オートザム店」は、軽自動車とイタリアのランチアのほかに売るモノがなく困っていたのですが、そこに「お待たせしました!」という感じで投入された小型車が、セダン(一応)であるレビューでした。

 オートザム系列では唯一の売れ筋だった軽自動車「キャロル」のデザインを踏襲したレビューの造形は、完全に女子ウケを狙ったユルふわなニュアンス。最初のうちは女性ユーザーにまあまあウケていたレビューでしたが。

 しかしあまりにもミエミエだったせいか、早々に飽きられ、あっという間に不人気モデルに。当時のマツダの経営を圧迫する要因とひとつとなってしまい、1999年4月に販売終了してしまいました。

 その中古車は、もはやほぼ絶滅状態で、確認できた中古車は日本全国で1台のみ。走行約13万kmの個体が「23万円」にて、とりあえず販売されています。

ざんねんなクルマ2/三菱ミラージュディンゴ 

■1999年1~2002年11月
■現在の生息状況/かろうじて生息 全国に2台 約10万~30万円

今見てもギョッとするミラージュディンゴのフロントマスク。あまりのも不人気だったので1999年1月に発売され、2001年2月のマイナーチェンジで顔が変わる
今見てもギョッとするミラージュディンゴのフロントマスク。あまりのも不人気だったので1999年1月に発売され、2001年2月のマイナーチェンジで顔が変わる

 三菱ミラージュディンゴは、まったくの鳴かず飛ばずだった5代目の三菱ミラージュと併売する形で1999年1月に追加された「ミラージュの背高ワゴン版」と呼ぶべきクルマです。

 三菱としては「Sport Utilitu Wagon(SUW)と自称していましたが、SUWという単語は、結局根づきませんでした。ちなみにディンゴは「ミラージュ」を名乗ってはいるものの、車台は5代目ミラージュを流用したものではなく完全な新設計でした。

 1.5Lエンジン+4速ATに「個性的な縦長フェイス」という組み合わせで登場したものの、まったく売れず。テコ入れのため1.3Lと1.8Lを追加するも、やはりダメ。

こちらが2001年2月のマイナーチェンジでフツーの顔になってしまったが、それでもさっぱり売れず、2003年12月に販売終了
こちらが2001年2月のマイナーチェンジでフツーの顔になってしまったが、それでもさっぱり売れず、2003年12月に販売終了

 「ならば!」ということで2001年2月には「縦長フェイス」を「ごく普通のフェイス」に整形するマイナーチェンジを行いましたが、やっぱり販売は振るわず、2002年11月には生産終了に。そして翌年中には完全に「販売終了」となりました。

 現在の中古車相場は約10万~約30万円。ただし流通量は、筆者が確認できた限りでは全国でわずか2台なのですが……。

ざんねんなクルマ3/日産レパードJフェリー

■1992年6~1996年3月
■生息状況/かろうじて生息 全国に5台 約20万~70万円

もともと北米で展開していたインフィニティブランド向けの中級サルーンとして企画された。尻下がりのエレガントで柔らかいラインはカルフォルニアにある日産のデザイン拠点NDIが手がけたもの
もともと北米で展開していたインフィニティブランド向けの中級サルーンとして企画された。尻下がりのエレガントで柔らかいラインはカルフォルニアにある日産のデザイン拠点NDIが手がけたもの

 日産レパードは、1980年に登場した初代は910型ブルーバードをベースとする高級4ドア/2ドアハードトップでしたが、1986年登場の2代目はスカイライン(R31型)をベースとする高級2ドアクーペに改められました。

 なんとも腰が座らないレパードですが、1992年に登場した3代目ではなぜか2ドアクーペではなく「4ドアセダン」となり、さらには「Jフェリー」という、よくわからないサブネームも付くことになりました。

 ちなみにこの名前、J・フェリーさんという外国人のお名前に関係しているように思えますが、実際は「祝日」を意味するフランス語「Jours feries」から作られた造語なんだそうです。

 このように、なんだかちょっとよくわからないレパードJフェリーでしたが、その装備のセンスと走り、そして英国のジャガーまたはアメリカ車を感じさせるデザインについても、玄人筋からはかなり高く評価されました。

 月平均3000台以上と安定した売り上げを保持していたアメリカ市場に反して、日本国内では月平均の販売台数は約数十台から100台強程度と低迷、総販売台数も約7300台に終わった。走りはベースのY32型セドグロとは思えないほど、フラットでしなやかで走りのテイストはジャガーに似ていた<br>
月平均3000台以上と安定した売り上げを保持していたアメリカ市場に反して、日本国内では月平均の販売台数は約数十台から100台強程度と低迷、総販売台数も約7300台に終わった。走りはベースのY32型セドグロとは思えないほど、フラットでしなやかで走りのテイストはジャガーに似ていた

 しかし一般的には「なんだかよくわからない」「高級車なのに、後ろ姿がブルーバードみたい」ということで人気薄になってしまいました。

 自動車業界ではジンクスというものが存在しますが、「尻下がりのクルマは売れない」というジンクスをまたもや日産はやらかしてしまいました。410ブルーバード(1963年)、9代目のU13型ブルーバードセダン(1991年9月)、そしてこのレパードJフェリーです。

 現在の中古車相場は20万~70万円といったところ。確認できた限りでは全国で4台のJフェリーさんが、まだまだ頑張って販売されています。

こちらが尻下がりの9代目U13型ブルーバード
こちらが尻下がりの9代目U13型ブルーバード
<strong>上の写真をクリックするとレパードJフェリーの中古車情報が見られます!</strong>
上の写真をクリックするとレパードJフェリーの中古車情報が見られます!

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