今回は、なぜか妙に心を惹きつけられる愛すべきモデルに注目してみたい。
読者の皆さんは、 街中をクルマで走っていてふと気になるクルマを見かける時ってたまにないだろうか。本企画担当はもちろんある。その姿を思わず目で追ってしまうような「萌える」クルマたちの存在にうっとりしてしまうのだ。
そこでベストカーでおなじみの自動車評論家各氏に、”たま萌えグルマ”を聞いてみたのでご覧いただきたい。
※本稿は2019年11月のものです
文:国沢光宏、片岡英明、諸星陽一、小沢コージ、永田恵一、清水草一、渡辺陽一郎、鈴木直也
写真:TOYOTA、SUZUKI、MITSUBISHI、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年12月26日号
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■雰囲気サイコーのガルウイング車 TOYOTA セラ〈国沢光宏〉
新型車を見ると、そのクルマが売れるかどうか相当の確率で当てられる、と私は思っている。なぜか? けっこうスイートスポットの広いクルマ好きだからだ。
軽自動車からSUV、スポーツモデル、輸入車、各々魅力を感じます。当然ながらいいクルマを見たら欲しくなってしまう。ピカソの絵より、誰でもわかるモネの絵を好むような”一般的な好み”の持ち主である私の感覚が「いいね!」なら売れるという判断だ。
前置きが長くなった。セラは「いいね!」したクルマなのだった。されど売れゆき低迷。トヨタ車のなかじゃWillシリーズ(これは3車種ともダメ出ししました〜)と並ぶ失敗作として挙げられる。珍しく予想を大ハズシしたクルマということ。
今でも街中で見かけると「いいなぁ!」と思います。何度か真剣に購入も考えたほど。残念ながらすでに置く場所なく「中古車を見つけちゃ断念する」を繰り返してます。
どこがいいかといえば、やはり全体の雰囲気。もちろんガルウイングドアは魅力の中核になっている。多数のバリエーション持つ日本車といえども、ガルウイングドアってセラとAZ-1しかありません。ガルウイングドアから乗り降りした経験持ってる人は少ないだろう。
また、オーディオも当時としちゃダントツでよかった。セラのマニュアルミッション車で音楽聴きながら、海沿いの道をノンビリ走ったら最高ですよ!
■ひょっとすると最後のロータリースポーツ!? MAZDA RX-8〈片岡英明〉
マツダの技術の粋を集めて開発され、新世代のロータリースペシャルティとして送り出されたのがRX-8だ。プロトタイプの「RX-EVOLV(RX-エボルブ)」は1999年の東京モーターショーでベールを脱いでいる。この時から正式発売に期待が膨らんだ。
デビューしたのは2003年4月である。世界で唯一のパワートレーンが最大の魅力だが、パッケージングもデザインも新鮮だ。躍動感あふれるダイナミックなフォルムで、センターオープン式のドア構造も目を惹いた。4ドアだから日常の使い勝手もいい。
心臓は、吸排気系をサイドポートにした新世代の13B-MPS型ロータリー(RENESIS)エンジンだ。単室容積654㏄の2ローターで、回転を上げていくほどにパンチを増す。レッドゾーンの9000rpmまで軽やかに回り、6速のミッションも小気味よく決まった。峠道では気持ちいい変速を存分に楽しめる。
観音開きドアを採用した高剛性シャシーに、ダブルウィッシュボーンにマルチリンクの組み合わせだから、フットワークも冴えていた。最終モデルで箱根に行ったが、やはりRX-8は運転するのが楽しい。箱根の山岳路だけで150kmも走ってしまった。
環境にやさしく、走りも軽やかな水素燃料のハイドロジェンロータリーも試作している。日本が世界に誇る、夢のパワーユニットを積んでいたのがマツダRX-8だ。見かけると、今でもときめいてしまう。
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