■日本の道に沿った”小さな高級車” TOYOTA プログレ〈渡辺陽一郎〉
萌えるクルマは1998年に発売された「プログレ」だ。一番萌えるポイントはフロントマスク。価格は一番安いNC250でも当時310万円(仮に消費税10%なら341万円)と高価だが、顔立ちは大人しく「高そうに見せよう」という意図をいっさい感じさせない。
サイドラインも水平で、サイドウィンドウの面積は広い。優れた視界と明るい車内がボディスタイルにも表現され、欲のない、育ちのよさみたいなものを感じる。
特に今のデザイントレンドに比べると対称的だ。怖い怒り顔が増えて、サイドラインも後ろに向けて持ち上げている。獲物を追う野性動物といえばカッコいいが、殺伐とした雰囲気を感じる。こんなクルマたちがあふれ返る街中は、住み心地のいい環境ではない。
今の時代に求められるのは、運転していると、周囲の歩行者やドライバーに何となく優しくなれるクルマだろう。明るくて心地いいから、ゆっくりと時間をかけて目的地まで向かいたい、そのような世界観を備えたクルマだと思う。
プログレには、それが宿っていた。内装のデザインも品がよく、走行安定性には改善の余地があったが、乗り心地は柔軟で快適だった。
今の技術でプログレのコンセプトを蘇らせたら、共感を得られるのではないか。リゾートに向けて、運転支援機能を作動させながら、高速道路の走行車線を巡航するカーライフを楽しみたい。ジジイになった証拠かな?
■なんで手放しちゃったかなあ…… HONDA 初代インサイト〈鈴木直也〉
これはもうね、まさにオレ好みのクルマだったワケ。昔からアルピーヌA110やロータスエランとか小さいクーペが好きだったんだけど、初代インサイトって現代のウルトラライトスポーツだったの。
で、エコカーというよりスポーツカーっていうところが”萌え”のポイント。2シーターで車重は900kgを切る860kg、レーシングカーのようなリアホイールスカート、初代NSXからさらに進化させたアルミフレームなどまるで昔のレーシングモデルのようなこだわりぶり。
実際、軽さが直結したコーナリングは車重600〜700kg時代のレーシングカーそのもの。隅々まで手を抜かない軽さへのこだわりは所有して初めて気づいたんだよね。
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