ハイレベルな基本性能を誇っていたものの国内市場では人気薄
搭載されるパワーユニットは、2タイプのV型6気筒エンジンが用意される。排気量が2.5Lのユニットは、最高出力200ps、最大トルク22.8kgmで、スペシャルティクーペに相応しい動力性能を発揮。
もうひとつは2Lで、最高出力160ps、最大トルク18.3kgmとスペックはやや落ちるものの、1200kgの車重に対して不満のないパフォーマンスが味わえた。
いずれもトランスミッションは5速MTと4速ATが選択可能。駆動方式はFFのみで、4WDは生産が終了するまで設定されることはなかった。
足まわりは前後ともストラット式サスペンションというオーソドックスな構成だが、十分なリンク長が確保されたうえに、速感応型4WS(4輪操能)の採用も相まって、当時から走りのよさには定評があったマツダ車らしい操縦性を実現し、爽快な運転感覚が堪能できた。
今でこそマツダは、「魂動デザイン」というデザイン哲学を掲げ、「スカイアクティブ技術」によって走る歓びを実感させるクルマを作り上げ、国産メーカーの一角として確固たる地位を築き上げている。
そんなマツダにも迷走を極めた時期があった。5チャンネル体制という失策、“クロノスの悲劇”と揶揄される6兄弟(一説によると8兄弟とも言われる)の末路は、マツダ関係者にとっては目を向けたくない事実だろう。
そんななか誕生したMX-6は、日本では売れ筋モデルにはなり得なかったが、個性的なデザインや走りのよさ、快適で実用性も高いなど、2ドアスペシャルティとして実力を有していたことは間違いない。熱烈なマツダファン以外には忘れ去られたクルマかもしれないが、玄人が好む要素は多分に持ち合わせていた。

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