内蔵電池切れトラブルの未然防止法
ここからは、トヨタのクラウンの取扱説明書を見ながら、電子キーの電池の消耗についてチェックしていこう。
電子キーに内蔵されているのはCR型とよばれるコイン型リチウム電池。Cは電気的性質、Rは円形を意味しており、「CR2025」や「CR1632」など、続く4桁の数字は最初の2桁が直径(mm)、続く2桁が(高さ:厚さ)を意味する。
クラウンの取扱説明書にある「電池の消耗」についての記述を見ると、
「電池の標準的な寿命は1~2年です。(カードキーの電池は1年半程度で消耗します)」、「電子キーは常に電波を受信しているため、使用していないあいだでも電池が消耗します」とある。
使用している間に作動しにくくなったり、作動範囲が狭くなったりしたら要注意。さらにTVやパソコン、携帯電話など、「磁気を発生する電化製品の1m以内に保管しないでください」とされている。
電池切れになったら物理キーを活用する
それでは、うかつに電子キーが電池切れでドアロックが解除できなくなってしまったら、どう対応すればよいのか。
答えは、電子キーに備わる「物理キー」(メカニカルキー)を使ってロックを解錠すればよい。
「え? 普通のキーなんてついてないじゃないか?」と思った方は落ち着いて、電子キーを見てほしい。
よく確認すると、薄い筐体に見事に「物理キー」が収納されていることがわかるはず。
クラウンの場合はロック機構を解除して取り出せるのでよいが、コインや刃の小さいマイナスドライバーなどを使って取り出す必要がある場合があるのが難点だ。
なんとか物理キーを取り外すことができたら、ドアロックを解除して乗り込みたいところだが、電池の残量不足で物理キーを使った場合、車種によってはドアのロックを解除した際に、盗難防止装置が作動して10~30秒警報が鳴る場合もあるので注意が必要。慌てることなく対応してもらいたい。
運転席に座ったら、シフトポジションがP(パーキング)に位置にあり、ブレーキペダルを踏んでいることを確認する。
次にこれも意外に知っていないと実行できないかもしれないが、エンジンのスタート/ストップ・ボタンにスマートキーで触れる。こうして車両側にキーを認識させれば、ボタンを押すとエンジンがスタート(ハイブリッド車では運行可能)できる。
最近は盗難防止のために鍵穴がないドアノブも急増中!
ただし、最近では少々困ったことに、なんとか物理キーを取り出すことに成功しても肝心の「鍵穴」が一見しただけでは見つからないケースも出てきている。ドアに鍵穴がなかなか見当たらない場合も、あくまで落ち着いて探すしかないのだ。
レクサスや輸入車のように、車上荒らしの手段であるピッキング防止のために意図的に隠されており、また2019年に登場したマツダ3やCX₋30にはデザイン上の処理で鍵穴を見せない処理をしているので、少々苦労することになるかもしれない。
鍵穴部分がカバーされていたり、ドアノブの内側に設置されていたりと発見するのが難しい場合もある。しかし、それでも鍵穴が「必ずどこかにある」ことに間違いない。
たとえば、事故やトラブルに見舞われて乗員が車内に閉じ込められた場合、JAFや救急隊のスタッフが自力でドアを解錠しなければならず、緊急時ではドアロックの解除が物理的に迅速にできるか否かは、下手をすると命に関わることになるからだ。ともかく、慌てることなく、ドアノブの周囲などをよう探してみてほしい。
コメント
コメントの使い方