人気爆発ライズの影でC-HR大幅減…壮絶なトヨタSUV共喰拡大中!!

ロッキー&ライズが売れた最大の理由は5ナンバーサイズ!?

ボディサイズは全長 3995×全幅1695×全高1620mm。価格はロッキーが170万5000~242万2200円に対して、ライズは167万9000~228万2200円で、ライズの方が2万6000~14万円安い
ボディサイズは全長 3995×全幅1695×全高1620mm。価格はロッキーが170万5000~242万2200円に対して、ライズは167万9000~228万2200円で、ライズの方が2万6000~14万円安い

 そこで改めてSUV市場を振り返ると、ロッキー&ライズに相当するコンパクトなSUVは、車種が意外に少ない。

 ヴェゼル、C-HR、CX-30などは人気のコンパクトSUVだが、全幅は1700mmを超えて3ナンバー車になってしまう。

 5ナンバーサイズのSUVは、軽自動車を除くと、クロスビーとジムニーシエラだけであった。このように貴重な5ナンバーSUVであることも、ロッキー&ライズの注目点だ。

 また最近は前輪駆動ベースの4WDを備えたシティ派SUVでも、オフロード派に似た直線基調の車種が人気を得ている。原点回帰とも受け取られる傾向で、最近は2019年4月に発売されたRAV4が人気を高めた。

 つまりロッキー&ライズは、今では貴重な5ナンバーサイズのSUVで、なおかつオフロードモデルを思わせる外観も兼ね備える。売れる要素が多いわけだ。

 ちなみにダイハツの開発者は、

 「ロッキーの外観は、クルマ好きの幅広いお客様にウケています。(第46回)東京モーターショーに展示したら、中高年齢層のお客様からマニュアルトランスミッション車はないのか、という質問を多く受けました。このような質問を受けたことは、ほとんどありません」という。

 ロッキー&ライズは、いろいろなユーザーを惹きつけているといえそうだ。

C-HRはライズ&ロッキー、RAV4に、ハリアーはRAV4に喰われた形に

2017年、2018年のSUV販売台数NO.1に輝いたC-HR
2017年、2018年のSUV販売台数NO.1に輝いたC-HR
2013年12月に発売された現行ハリアー
2013年12月に発売された現行ハリアー

 このようにライズの販売は好調だが、従来の売れ方を見ると、ライズが伸びた代わりに売れ行きの下がる車種が出てきている。まさにトヨタSUV同士の共喰いということだ。

 C-HRはその典型だった。C-HRは2016年の末に発売され、2017年と2018年(暦年)にはSUVの販売1位になった。

 ところが2019年に入ると購入を希望するユーザーに行き渡り、2019年上半期(1~6月)には対前年比が20%以上減った。一度追い抜いた2013年登場のヴェゼルに、再び抜き返されている。

 そして現行RAV4が2019年4月に発売され、5月にSUVの販売1位になると、C-HRの同月の登録台数は前年に比べて24%減った。

 この後もRAV4は堅調に売れ続け、C-HRは逆にマイナスが続き、対前年比は6月が36.3%、7月は37.4%、8月は40.6%、10月には56.4%という具合に大幅に減少した。

 2013年12月に発売されたハリアーにしても、モデル末期だから販売が下降するのは当然だが2019年10月以降の対前年比が47.9%、45.9%、48.2%と落ち込みが激しい。やはりRAV4発売の影響が出ているといえそうだ。

サイズは異なるがファミリー層はC-HRからRAV4に流れた

ライズのデザインはミニRAV4ともいわれている
ライズのデザインはミニRAV4ともいわれている
RAV4のボディサイズは全長4600×全幅1855×全高1685mm。価格は265万6500~388万8500円
RAV4のボディサイズは全長4600×全幅1855×全高1685mm。価格は265万6500~388万8500円

 C-HRは需要の一巡で売れ行きを減らし、新型車のRAV4にもユーザーを奪われてしまった。

 RAV4発売後、大ヒットしているさなかにトヨタの営業マンはこのように言っていた。

 「C-HRは外観が目立つこともあり、発売すると絶好調に売れた。その代わり需要が下がるのも早かった。

 またRAV4はC-HRに比べて後席が広く、荷室容量も十分に確保して汚れを落としやすい加工も施されている。

 そのためにファミリーのお客様は、最初にC-HRを検討しても、RAV4に変更することが多い」。

 2Lエンジンを搭載するRAV4の価格は、1.2LターボのC-HRに比べて25万~30万円高いが、この価格差であれば車内の広いRAV4を選ぶユーザーも多いようだ。

 そしてC-HRの売れ行きは、ライズの発売された11月は対前年比が12%のマイナスにとどまったが、12月は再び23.1%の減少になった。

 ライズの好調も、C-HRの販売減少に影響を与えている。C-HRは1.2Lターボと1.8Lハイブリッドを搭載するので、上級に2Lと2.5LハイブリッドのRAV4、下側には1Lターボのライズが加わると、両側を挟まれて影響を受けることになった。

 さらに2013年12月とモデル末期のハリアーも少なからず影響を受けた。RAV4が登場した4月以降、対前年比が微増の月が4回もあったが10月以降は約50%減が続いている。

 またライズの発売は、他メーカーのコンパクトSUVにも影響を与えている可能性がある。2019年10月と11月は、台風19号の影響も受けたから一概にはいえないが、ヴェゼルの売れ行きは11月に31.5%、12月には26.4%減った。

 これまでコンパクトSUV市場で、両雄と言われてきてSUVトップを競ってきたC-HR対ヴェゼルという構図が崩れた。

 それを壊したのは、同じトヨタのRAV4であり、ロッキー&ライズであったわけだ。これはまさにトヨタSUVの共喰いだ。

 トヨタにとっては、この共喰いによって、ヴェゼルにSUV販売台数1位を奪われたのは計算外かもしれない。

■2019年暦年SUV販売台数TOP10
1位:ヴェゼル 5万5886台(93.7%)
2位:C-HR 5万5677台(72.5%)
3位:RAV4 5万3965台
4位:エクストレイル 3万6505台(72.6%)
5位:フォレスター 3万2384台(112.6%)
6位:CX-5 3万1538台(82.4%)
7位:ランドクルーザー 2万8475台(96.8%)
8位:CX-8 2万3294台(75.9%)
9位:ライズ 1万6601台
10位:UX250h 1万4409台
※カッコ内は対前年比

ヴェゼルのホームページを見ると左下に2018年SUV販売台数NO.1と誇らしげに掲載されていた
ヴェゼルのホームページを見ると左下に2018年SUV販売台数NO.1と誇らしげに掲載されていた

次ページは : 2020年にトヨタSUVの共喰いが拡大!?

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

あのトヨタスターレットが再び公道に舞い降りる!? 日産×ホンダ協業分析など新社会人も楽しめるゾ「ベストカー5月10日号」

あのトヨタスターレットが再び公道に舞い降りる!? 日産×ホンダ協業分析など新社会人も楽しめるゾ「ベストカー5月10日号」

トヨタの韋駄天が覚醒する! 6代目NEWスターレットのSCOOP情報をはじめ、BC的らしく高級車を大解剖。さらに日産・ホンダの協業分析、そして日向坂46の富田鈴花さんがベストカーに登場! 新社会人もベテランビジネスマンまで、誰もが楽しめるベストカー5月10日号、好評発売中!