【交差点の右折レーン手前にあるゼブラゾーンの不思議】走っても違反にならないのか?

 交差点付近の道路に白い縞々模様が描かれている「ゼブラゾーン(導流帯)」。特に右折レーンの手前にあるゼブラゾーンは入らないで走行するドライバーがほとんどだろう。

 しかし、たまにせっかちなドライバーが右折レーン手前にあるゼブラゾーンに進入しているのを見かけることがある。

 はたして、これは違反になるのだろうか? 何のために設定されているのだろうか? モータージャーナリストの野里卓也氏が解説する。

文/野里卓也
写真/野里卓也 ベストカーWEB編集部
※過失割合について一部数字の入れ違いがあったため修正いたしました。申し訳ありませんでした(2020.2.11 0:20)

【画像ギャラリー】教習所の学科試験にも出てくる道路標示の違いとは?


さまざまなゼブラゾーンが存在する

右折レーンの導流帯だが、道路標示のみの場合や、中央分離帯と一緒になっている場合などさまざまな状況で設置されている

 ゼブラゾーンは「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令/第一章・道路標識の第五条/区画線の種類、設置場所~」という建設省(当時)からの命令により“導流帯”という名称で、車両の安全かつ円滑な走行を誘導する必要がある場所に設置されている。

 主に片側数車線ある道路の交差点に設置されており、中央分離帯と一緒になったものや、道路への標示のみという箇所もあり、いろいろなパターンがある。

 そもそも、ゼブラゾーンである導流帯を設置する目的は何か? 今回は関東一円の国道を管理する国土交通省の関東地方整備局に聞いてみた。

 「国道などは将来の交通量を見越して、車線の数や幅員(道路の幅)などを決めています。そうすると自ずと線形(道路の形)も決まってくるのですが、その場合将来の交通を見越したエリアは余剰地になっていることがほとんどです。

 つまり普段だとクルマが走らない場所があるのです。しかし、その余剰地をほったらかしにしておくと、クルマがどこを走って良いのか、走行する上でいろいろな障害が出てくるので、そうしたエリアは導流帯など車線に制限を設けることで、安全を確保しています。

 また、質問の右折レーンの導流帯の意味ですが、高い速度で交差点へ進入して右折することを抑止する目的もあります」という。

ゼブラゾーンを走行すると違反になるのか?

 さて、導流帯が設置される目的はわかった。しかし、読者からの質問である「通行しても違反になるのか」どうかだが、実際に走行しても違反になるのだろうか?

 ここからは東京都日野市で東京都公安委員届け出の自動車教習所に勤務するインストラクターへ聞いてみた。

 クルマの免許を取る前に教習生へ公道を走るルールとマナーを教えるプロならばズバリ回答してくれるに違いないからだ。

 「導流帯ですが、通過は良いと教習生にも教えております。基本はそこへクルマを停車したらダメですが、通過するのは問題ありません。違反でもないです。右折レーンに導流帯が設置されているのは対向車が驚いてはいけない、という目的でも設置されており、ちゃんと意味があるのです。

 また消防署の前には「停止禁止」の道路標示がありますが、これと同じ意味でもあります」(松山ドライビングスクール/インストラクター・高野雅義氏)。

 と、違反ではないと回答。そして、交差点の右折レーンの導流帯は対向車線を走るクルマへ脅かさないように、また速い速度で進入を抑える意味でも設置されていることを話してくれた。

 やはり、国道交通省から得た回答と同様、交差点の導流帯は危険を防止する意味で設置されていたのだ。

導流帯と間違えやすい道路標示

左から「立ち入り禁止部分」、「安全地帯」、「停止禁止部分」

 ここで導流帯と間違えやすい、「立ち入り禁止部分」「安全地帯」」「停止禁止」「路上障害物接近を解説しておきたい。

 まず「立ち入り禁止部分」。これはゼブラゾーンと同様に縞模様の線が入った道路標示。しかしゼブラゾーンと違い、立ち入り禁止部分の道路標示の周辺には黄色の実線が入っている。

 立ち入り禁止部分はその名の通り、クルマの通行、侵入、駐停車が禁止されているエリアで、見通しの悪いカーブや道路の形状が複雑で事故が起こりやすい場所、車線数が減少する場所、その他危険防止上交通の導流が必要な場合など、事故防止や交通整理が必要な場所に設置されている。

 安全地帯は路面電車の停留所や幅が広い横断歩道中間地点などで特に必要と認められる道路の部分に設置されている。

 安全地帯にクルマが侵入することは禁止されているほか、安全地帯の近くに歩行者がいるときは徐行する必要もある。

 基本的に黄色い実線で四角の形状をしたものが多いが、縞模様のものもあるのでゼブラゾーンと勘違いしないよう注意が必要だ。

 下に指定された道路標示は通行可能なのか、その場所に停止できるのかをまとめてみた。

■導流帯/通行可能、停止できる
■立ち入り禁止部分/通行不可能、停止できない
■安全地帯/通行不可能、停止できない
■停止禁止部分/通行可能、停止できない

 安全地帯や立ち入り禁止部分に走行した場合には、道路交通法第17条第6項において、『車両は、安全地帯又は道路標識等により車両の通行の用に供しない部分であることが表示されているその他の道路の部分に入ってはならない』ことが規定されているため、これに違反した場合の罰則については、道路交通法第119条第1項一号の二において、『3カ月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する』となる。

 反則金は普通車の場合7000円、違反点数は2点。反則金を支払えば罰則を受けることはない。

 停止禁止部分は、縞模様の実線の入った四角い枠の道路標示で、警察署や消防署の前などにある。

 停止禁止部分ではクルマは通行することは許されるが、この表示の中で停止してはいけない。当然、渋滞していても、この停止禁止部分で止まることもダメだ。

 停止禁止部分については、「道交法第50条第2項(交差点等への進入禁止)車両等は、その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、横断歩道、自転車横断帯、踏切又は道路標示によって区画された部分に入った場合においてはその部分で停止することとなるおそれがあるときは、これらの部分にはいってはならない」と定められている。

 違反点数は交差点等進入禁止違反で1点、反則金は6000円。罰則は5万円以下、過失5万円以下となっている。

 また、「安全地帯または路上障害物接近を知らせる道路標示」もゼブラゾーンに似た形状をしている。

 「路上障害物接近を知らせる道路標示」は高速道路やインターチェンジの合流場所でよく見かける。前方に障害物があることを知らせているので、確認したときは特に前方を注意してクルマを運転しよう。

事故が起きた場合は導流帯を走行したクルマの過失が10~20%上乗せされる場合がある

 任意保険において、ゼブラゾーンに沿って右折車線に進路変更した車両がゼブラゾーンを走行してきた直進車と衝突した事故の場合、基本過失割合はゼブラゾーンを走行していないクルマが70%、ゼブラゾーンを走行したクルマが30%になるのが一般的だとのこと。

 しかし、ソニー損保によれば、こうした事故の場合、過失の修正が発生する場合があるという。
※参考ページ:
https://www.sonysonpo.co.jp/auto/kashitsu/ac02/akst153.html

 車両の運転者等の意識として、ゼブラゾーンにみだりに進入すべきではないと考えているのが一般的なため、ゼブラゾーンを走行したクルマに対して10~20%の過失が上乗せされることがあるという。

 朝夕の渋滞など、なるべく早く右折車線に入り、急ぎたい状況はわかるが事故が起きた場合はゼブラゾーンを走行した方が不利になるのだ。

 まとめると、導流帯が作られた目的、つまり、クルマが走る場所を導流帯でキチンと制限することで、規律のある走行車線を設定していること。

 そして、交差点では右折する車両に対して、スピードオーバーでの進入を防止する意味でも設置されていることをしっかり頭に入れておこう。

 そうしたことを踏まえると、法律で走行が許されているからといって、むやみに導流帯を走行するのは避けるべきではないだろうか。

【画像ギャラリー】教習所の学科試験にも出てくる道路標示の違いとは?

最新号

ベストカー最新号

【ここまでわかった!】新型WRX S4&STI 強烈進化|ベストカー8月26日号

 ベストカーの最新刊が本日発売! 最新号では、新型WRX STI&S4の最新情報をお届け。  そのほか、世界初公開した日産アリア、タフト、ハスラー、ルーテシアなど注目車種の情報から、歴代殿堂入りモデルを決める特集や、2020真夏の初試乗祭り…

カタログ