ベストカー本誌の過去記事から名企画・歴史的記事をご紹介する「ベストカーアーカイブ」。今回は2013年9月の企画「あの宿題終わりましたか!?」をプレイバック! クルマ界にも「宿題課題全部終わりましたか?」と聞きたくなるネタがけっこうある。「現状でどれくらい終わっているのか? 達成しているのか?」を追ってみた!(本稿は「ベストカー」2013年9月26日号に掲載した記事の再録版となります)
文:前澤義雄、編集部/写真:スズキ、ホンダ ほか
■マツダ│ハイブリッドカーの課題はどれくらい残ってる?
マツダ初のハイブリッドカー、アクセラの国内発売は11月頃と予測されている。その前に、HV搭載なしのアクセラが北米や欧州で販売開始され、その直後に日本登場となる予定。
トヨタのTHSIIとSKYACTIVの組み合わせのハイブリッドシステムだけに注目度が高いが、既報どおり“ハイブリッドはセダンのみ”という(ビックリ)。これで現状で30%弱というセダン比率が高まりそうだが、マツダ初のハイブリッドカーゆえ、その出来具合に宿題は(課題)残っていないかどうかが気になる。マツダ広報部へさっそく聞いてみた。
「ハイブリッドカーとしての出来具合の感触ですか? なかなかマツダらしい走りも楽しく、燃費もいいハイブリッドに仕上がっていますよ。ま、前者の“走りも楽しい”というほうを強調したいハイブリッドですけど(笑)」と煙に巻く感じだが、完成度の高い余裕の表われか!?
編集部がつかんだところによると、プリウスの32.6km/Lを上回るJC08モード33.0km/Lという凄い燃費値になるらしい。デザインや乗り心地などクルマ全体の部分はまだ見えないが、燃費値となると宿題(課題)はほぼ達成できたという感じではないだろうか。
■トヨタ・レクサス│2年前「デザインを変える」と宣言したトヨタ。宿題はどれくらい終了した?
2011年4月、福市得雄氏がデザイン本部長兼常務役員に就いた。福市氏といえばあの画期的スタイルのクルマ、初代エスティマをデザインした実力派デザイナー。トヨタ車のすべてのデザインを見る立場となり、「今のトヨタのデザインを変えます!」と就任後高らかに宣言。
ここ数年、「デザインがイマイチ」といわれるトヨタデザイン。だが、福市氏就任で効果が表われつつあるのだろうか? 「変わろうとする宿題」ははかどっているのだろうか。
まずは、トヨタ広報部へ福市氏の代表作といえるデザインを聞いてみた。
「まずはレクサスのスピンドルグリルですね。そして、一番の代表作は現行クラウン。あのグリルデザインやアイデンティティはもちろん、全体のデザインを担当しました」
なるほど。やはりクラウンには力が入っていたというわけだ。
さて、福市氏が就いてからまだ2年4カ月ほどで、“トヨタデザインの改革”は始まったばかり。だが、あえてこの2年4カ月に見るトヨタデザインの変化を、「デザイン水かけ論」でおなじみの前澤義雄氏にチェックしてもらった。「宿題の達成度」という視点を交えて……。
●大胆さの勝利があれば、新鮮さの欠落もある(TEXT/前澤義雄)
トヨタのデザイントップに福市得雄さんが就き、氏が語った改革への課題を宿題とするならば達成度は? となるが、正直2年ほどの経過では長くかつ複雑なデザイン開発を考えると酷なこととは思うものの、ま、現在までに表われた結果から評価してみようってわけ。
評価対象としてはレクサスのスピンドルグリル、現行クラウン、カローラなどとなるが、まずは福市さんの改革への考え方を見ると、“デザインの術から道へ”、つまり“ネガを潰し性能や品質を追求”から“個性や姿勢を訴える”だろう。
そこでスピンドルグリルだが、レクサスファミリーの共通性は高まったのは成功ながら、個々のモデルとしての個性や魅力が逆に埋没しそうだ。
グリルは大事だがクラウンアスリートのように個性として評価されるのは成功で大胆さの勝利といえる。
だがISではグリルと同時にスポーティの強調のための部分的なデザイン要素が目立つが、基本的なプロポーションが従来どおりなので、独自の個性と魅力に欠けているのが残念。
さてカローラだが、生産拠点の東北への変更にともない、プラットフォームの変更の検討が長引き、デザインに悪影響となったような気がする。新鮮さと同時に個性にも欠ける結果となったが、改良や修正の余地などなかったのかな、と感じる。
そのほかいくつかのマイナーチェンジにも関わっているのだろうが、この2年間の結果では、“トヨタデザインを変える宿題(課題)達成度”は20%前後で、今後への加速を待ちたい。

















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