2025年7月30日、兵庫県丹波市で国内観測史上最高の41.2度を記録しました。この異常な暑さの中、駐車した車内は一体どれほど危険なのか? 編集部員が実際に車内温度を測定し、体感した恐怖とともに熱中症予防の具体的な対策を詳しく解説します。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】国内最高気温は41.2度を記録! 体を張って車内温度を計ってみた! 車内熱中症の恐怖と対策とは(9枚)画像ギャラリー暑すぎて命の危険! 38.8℃の熊谷で車内温度測定!
2025年7月30日、兵庫県丹波市で国内観測史上最高となる41.2度が記録されました。これまでの最高気温は、2020年8月17日に静岡県浜松市、2018年7月23日に埼玉県熊谷市で観測された41.1度で、今回の記録はそれを0.1度上回るものです。
そこで、ちょうど1年前の2024年7月31日、実際にベストカー編集部員が体を張って車内温度を測定する実験を行った結果を再度紹介したいと思います。
テストを行ったのは、埼玉県熊谷市。過去の最高気温ランキングでトップとなる、41.1℃(2018年7月)を記録している「日本一暑い街」です。
テスト開始は、気温が最も高くなりやすい14時に合わせて13時から行いました。その時点の気温は手元の温度計で38.8℃、暑い!
試験車となるレヴォーグは、エアコンをLOにしてガンガンに冷やした状態からスタート。まずは1時間放置してみたが、各部の温度は急上昇しており、なかでもインパネ(運転席側)は78.2℃を記録した。
シートの座面も、ルーフのおかげで影になっている後席でも46.7℃と高く、座っていたら熱中症間違いなしの状況となっていたことでしょう。
14時を過ぎたくらいから天候は薄曇りとなったため、ボディの温度は低下しましたが、それでも気温は38.0℃で、密閉性が高く熱くなった空気を閉じ込めている車内各部の温度は、インパネを除き大きく下がることはありませんでした。
編集部員は、命の危険を感じたようで「60分後に車内に入った瞬間、熱風というよりも“焼けるような空気”を感じた。呼吸がしづらく、数分といられない状態だった」とコメントしています。
もはや単なる不快感ではなく、命にかかわる危険な環境であることがわかりました。特に高齢者や子ども、体力のない方にとっては致命的なリスクです。
ちなみに炎天下にクルマを長時間駐車していた場合、車内の熱気を素早く出すには、以下の方法が最適解です。
1/窓を全開にしてある程度車内が冷えるまでアイドリングで冷房を全開&外気導入
2/フロントシートが冷えてきたら前席ドア、車内が冷えてきたら後席ドアを閉め熱い空気を車外に出す
3/ある程度冷えてからリアハッチも閉めて、内気循環にして走行しながらさらに室内を冷やす
車内に卵を置くとどうなる?
さて、車内がいかに暑くなるかはご覧いただいたと思います。もし、その車内に人がいたとしたらどうなるだろうか? 今回のテストでは、車内のインパネ、前席中央、後席中央に生卵を置いて、その温度変化もチェックしました。
ちなみ、人体のたんぱく質は42℃を超えると変性し致命的なダメージにつながりますが、卵のたんぱく質は62℃を超えると凝固が始まるとされています。そのため、テストでは目で見て変化がないように見えても、人体に置き換えてみた場合には致命的な温度になっているといえるでしょう。
さて、そんな卵の温度ですが、開始直後は最も高いもので20.5℃でしたが、1時間経過時には最も日が当たるインパネに置いてある卵の温度が58.9℃まで上昇。薄曇りとなった2時間後でも54.7℃と高い温度となっていました。
そんなインパネの卵を割ってみると、見事な温泉卵状態に。これが人間とすれば、悲惨な状態です……。
最終的な卵の温度は、前席中央が45.6℃、後席中央が40.8℃で、卵は変性しなかったが、人間なら2時間も平熱よりも高い状態で放置されることになります。体温調節機能が発達しきっていない子どもでなくても、命の危険がある空間といえるでしょう。
また、最近のクルマのガラスはUVカットガラスになっていますが、それでも紫外線の影響を受けやすいバナナをインパネに置いておくと、わずか1時間で日が当たる上面は真っ黒に……。車内温度だけでなく、紫外線も注意が必要です。

熱中症を防ぐためにはどうすればいい?
運転中の熱中症を防ぐためのポイントは以下のとおり。
●こまめに水分を補給する(利尿作用のあるカフェインの入っていないものがお薦め)
●喉が渇く前に水分補給をする
●栄養バランスの良い食事をする
●過労、睡眠不足を避ける
●エアコンを25~26℃に設定する
●湿度を40~60%程度に保つ
●サンバイザー、サンシェードなどを使用し、直射日光に当たらないようにする
「水分をとって脱水を防ぐ」「車内温度・湿度を適温に保つ」が熱中症予防策の柱。特に水分補給は重要。ただし、1回に体が吸収できる水分量には限界があるので、一気飲みをするとせっかくとった水分が無駄になってしまいます。1回あたり150mL程度を目安に、30分おきくらいに少しずつ飲むことが効果的です。
お薦めは水や経口補水液です。糖分の多い飲料やカフェイン飲料は利尿作用があり、かえって脱水を進める可能性があるため注意が必要です。
東京都健康長寿医療センター研究所では1Lの水に食塩1~2g(小さじ1/3)入れて、好みによりレモン汁を入れても可、よく冷やして1時間ごとにコップ半分くらいを飲むようにしてくださいと紹介しています。
熱中症予防の基本は、暑さを避けることと十分な水分補給です。運転中はエアコンをしっかり効かせ、車内温度を25〜26℃程度に維持しましょう。
停車時は窓を少し開けて換気するだけでも温度上昇を緩和できます。さらに、フロントガラスにサンシェードを装着することでダッシュボードの表面温度を10〜15度下げられるという実験結果もあります。
■用品メーカーの対策アイテム比較
・アルミ蒸着タイプのフロントサンシェード:ダッシュボード温度を約12度低下
・二重構造のメッシュサイドシェード:後席温度上昇を約8度抑制
・断熱スモークフィルム(UVカット率99%):後席温度上昇を最大10度低下
こうした用品は数千円から購入可能で、コストに対する効果は非常に高いといえます。
後席にスモークフィルムやサイドウインドウ用のサンシェードを貼る
後席はエアコンの風が届きにくく、直射日光でさらに熱がこもりやすい場所です。後席のスモークフィルムやサイドウインドウシェードを活用することで日差しを遮り、温度上昇を抑えることができます。
特に小さな子どもや高齢者を後席に乗せる場合は、安全のためにもこうした対策を取り入れることをお薦めします。
最近は、工具不要で装着できる吸盤式シェードや、車種別のサイドウインドウシェードが販売されており、効果的です。UVカット率99%以上の高性能フィルムも普及しており、誰でも簡単に導入できます。
もしも熱中症になってしまったらどうすればいい?

めまい、吐き気、頭痛などの症状が出た場合は、すぐに車外の涼しい場所に移動し、衣服を緩めて体を冷やしましょう。首や脇の下、太ももの付け根など血流の多い部分を冷やすと効果的です。水分は一度に大量ではなく少量をこまめに摂取します。
もし意識がもうろうとしている場合や呼びかけに反応が鈍い場合は、迷わず救急車を呼び、医療機関での対応を受けることが必要です。
編集部のまとめ
酷暑日の車内は短時間でも命の危険に直結します。今回の実測で分かったのは、30分で50度を超える危険な温度帯に突入するということ。サンシェードやフィルム、換気などの対策はもちろん、こまめな水分補給と早めの休憩が欠かせません。
















コメント
コメントの使い方水分補給は、水か経口補水液で、とされていますが、経口補水液は病者用の飲料であり、日常的な水分補給には適さないとされているのではないでしょうか。