日産 フェアレディZ コンバーチブルはスタイル、走り、心地よさといったすべてを融合したオープンZの到達点【愛すべき日本の珍車と珍技術】

日産 フェアレディZ コンバーチブルはスタイル、走り、心地よさといったすべてを融合したオープンZの到達点【愛すべき日本の珍車と珍技術】

 これまで日本にはたくさんのクルマが生まれては消えていった。そのなかには、「珍車」などと呼ばれ、現代でも面白おかしく語られているモデルもある。しかし、それらのクルマが試金石となったことで、数々の名車が生まれたと言っても過言ではない。

 当連載では、これら「珍車」と呼ばれた伝説のクルマや技術などをピックアップし、その特徴を解説しつつ、日本の自動車文化を豊かにしてくれたことへの感謝と「愛」を語っていく。今回は、4代目Z( Z32型)設定されたオープンモデル、フェアレディZ コンバーチブルを取り上げる。

文/フォッケウルフ、写真/日産

【画像ギャラリー】高い実用性も得て新しいスポーツカー像を表現したフェアレディZ コンバーチブルの写真をもっと見る!(7枚)画像ギャラリー

クーペとはひと味ちがう華やかさを表現

 Z32型フェアレディZが登場したのは1989年7月だ。デビュー当初から国内外で話題となり、1990年には「米国インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を獲得するなど、未来的なスタイリングと優れた走行性能は高く評価された。

 そんなZ32の新たな選択肢として加わったのが、今回クローズアップするコンバーチブルだ。クーペが放つタイトで精悍な印象に対し、コンバーチブルはオープンエアの開放感を前面に打ち出しており、ルーフを開けた瞬間に広がる大空とスポーティなドライビングフィールによって、日常を特別な時間へと変える爽快さを提供してくれる。

1992年に4代目フェアレディZの派生車として誕生。ベースとなったのは、2シーター、V型6気筒3L自然吸気エンジンを搭載モデルだった
1992年に4代目フェアレディZの派生車として誕生。ベースとなったのは、2シーター、V型6気筒3L自然吸気エンジンを搭載モデルだった

 Zコンバーチブルで日産の開発陣が最もこだわったのは、オープン時のスタイリングの美しさ。幌は専用のストレージにすっきりと収まり、ルーフを開けた瞬間に完成されたオープンシルエットが現れる。

 そのストレージリッドには、インテリアのカラーとコーディネートされた専用フィニッシャーが配され、外観と内装がシームレスにつながるよう演出されている。

 幌の開閉はシンプルな手動式を採用した。容易に開閉できるが、安全面を考慮して走行中は操作できない構造としている。

 リアウインドウに加えサイドライト(小窓)が設けられているので、オープンカーにありがちな斜め後方の死角を解消。日常ユースにおける使い勝手もきちんと考慮されている。オープンカーならではの開放感とエレガンス、そして実用性を兼ね備えた新しいスポーツカー像を示した。

オープンエア・グランドツーリングにふさわしいインテリア

 オープンカーの魅力である爽快感を楽しむ一方で、どうしても課題となるのが走行中に巻き込む風だ。この点について、コンバーチブルでは、ストレージリッド前端部に可倒式エアデフレクター(整流板)を設置することで後方からの風の巻き込みの低減を図った。

 このエアデフレクターはワンタッチでセットしたり、収納できる構造となっており、必要なときだけ瞬時に展開でき、使わないときはスマートに格納できる。走りを楽しむスポーツカーでありながら、こうした細やかな配慮が施されている点は、Zコンバーチブルがオープンモデルとして高い完成度を有しているポイントと言える。

フェアレディZが本来備えている高次元の基本性能に、オープンエアならではの爽快感を融合させることで、新たな価値を提示している
フェアレディZが本来備えている高次元の基本性能に、オープンエアならではの爽快感を融合させることで、新たな価値を提示している

 上質さと快適性にこだわった内装の作り込みもZコンバーチブルの特徴だ。シートは運転席、助手席ともに電動調整機構を備えた本革仕様を採用。さらにステアリングホイール、シフトノブ(ATはシフトレバー)、パーキングブレーキレバーまで本革巻きとし、触れるたびに上質な手触りを味わえる仕立てとなっている。

 センターコンソールリッドやドアアームレストも本革で、トリム生地にはスウェード調クロスを採用。スポーツカーでありながら、まるで高級サルーンのような仕立てがなされている。

 インテリアカラーはスポーツカーらしい精悍さを強調するオフブラックと、オープン時のエレガンスを際立たせるオフホワイトの2種類を用意した。小型サンバイザーやコンパクトなスポットランプの採用により、開放感を損なわずに利便性を高めているのもポイントだ。

 また、直射日光を受けやすいオープン時でも視認性を確保する工夫として、時計やオーディオの照明はグリーン色を採用。こうした細部にまで行き届いた心配りは、単なるスポーツカーの域を超え、オープンエア・グランドツーリングとしての存在感を強く印象づける。

次ページは : 優雅さと快適さ、実用性を手に入れたコンバーチブル

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