2024年、大人気ミニカーシリーズ「トミカ」を擁するタカラトミーの代表取締役社長 CEOに就任した富山彰夫氏。氏が思い描くトミカの未来、そしてこれからの「アソビ」について質問をぶつけた。
文・写真:大音安弘
【画像ギャラリー】懐かしのトミカがいっぱい!! 超貴重なギフトセットの中身をズームして見て!!(9枚)画像ギャラリー玩具の重要性に気づかせてくれた祖父の言葉
2024年、原点である富山玩具製作所の創設から100周年を迎えた老舗玩具メーカーのタカラトミー。同社の代表作といえば、クルマ好きならば、一度は手にしたことのあるダイキャスト製ミニカー「トミカ」だ。子どもの手のひらに乗り、安全に遊べるミニカーの歴史は、なんと2025年で55周年を迎えた。
代表取締役社長 CEOである富山彰夫氏は、創業者・富山栄市郎氏のひ孫にあたり、やはり幼少期からトミカにも親しんできた。
当時のお気に入りは、1980年代にレースで活躍した「トミカ スカイライン シルエット」だそう。トミカに親しんだこともあって、現在、GRスープラを愛車とするほどのクルマ好きに。
ただ当初はタカラトミーへの入社は考えていなかったという。転機となったのは大学3年生の頃に、トミーの会長(当時)、祖父の富山允就氏が病に倒れたことだった。
「肺がんで入院中の祖父が、ほぼ喋れない状況だったのに、呼び出した私に向かって必死に、『家業を手伝え!』と伝えてきたんです。その直後、祖父は亡くなってしまい、葬儀には多くの人が参列されました」
「そこで祖父と苦楽をともにしたOBからの激励などもあり、玩具メーカーという家業の重要性を感じたことが、入社を決めるきっかけとなりました」
入社後は、経営企画や生産戦略、海外駐在など、さまざまな業務を経験。その経験で最も思い出深いのは、’20年~’23年の事業統括本部長時代という。
「当時、私自身もトミカの商品開発に携わりました。『紅の豚』や『となりのトトロ』などの『スタジオジブリ』作品とのコラボモデルは大変でしたが、思い出深いです」
「さらにトミカプレミアムの魅力を拡大しようとレーシングカーを展開した『Racing(レーシング)』シリーズや、『unlimited(アンリミテッド)』シリーズからBANDAI SPIRITSさんとのコラボによる『機動戦士ガンダム』のホワイトベースを商品化しました。幼い頃からロボットものが好きだったので、ガンダムとのコラボは、夢が叶った気分でしたね」
「実は子どもの頃、バンダイで働きたいって言っていたんですよ。それくらいロボットが好き。そこで、うちでも独自のロボットをやろうと取り組んだのが、働くクルマがロボットに変身するアニメ・玩具シリーズ『特装合体ロボ ジョブレイバー』でした。これが成功したのも嬉しかったですね」
トミカの「アソビ」と子どものクルマ文化
2024年の社長就任時に掲げたのは、「タカラトミーをアソビメーカーに」というメッセージだ。「アソビ」には、どんな意味が含まれるのだろうか。
「今、自動車業界では、クルマの役割をモビリティ(移動手段)という言葉で表現しています。玩具も同様で、玩具自体はアウトプットのひとつであり、その裏にある遊びを作っているわけです」
「玩具とひと括りにするのではなく、子どもの扱いやすさや安全性など、さまざまな配慮をしたうえで作ることが大切」
「さらに子どもから大人まで、どういう遊びを体験するかまでを想像したうえで、我々が製品を送り出していることを伝えたかった。敢えて『アソビ』と表現したのは、私たちの企画開発段階から、クリエイティブマインドを大切にしており、そこから遊びが生まれていると考えています。それを表現するにはカタカナ表記が最適と考えました」
富山氏の夢だったガンダムとのコラボトミカは、まさに、そんなアソビ心から生まれたのかもしれない。
変化を恐れず魅力的なシリーズを増やし続けるトミカだが、55年もの間、愛されてきた秘密はどこにあるのだろうか。そこには、日本のクルマ文化が大きく影響していると指摘する。
「マイカーブーム直後の1970年に発売されたトミカですが、当時日本車の小さなミニカーを作る玩具メーカーはなかった。手のひらに乗るトミカは、子どもたちが手に入れられる憧れのマイカーとなりました。彼らなりのクルマ文化の楽しみ方になったのです」
「ただ大人と異なるのは、興味を持つクルマが異なること。彼らには日常で目にする、はたらくクルマが魅力的に映る。だから清掃車や救急車などの人気が高い」
「そして子どもたちの成長のなかでクルマの理解が深まると、スポーツカーなどにも興味を持っていく。それが個性豊かな多くのトミカを揃える理由です」













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