プラモデル。そう聞くとどうしても「オモチャ」なんて思ってしまいがちだが、実はその世界はとってもディープ。深すぎるくらい。
そのなかでも「フルスクラッチ」と呼ばれる、さまざまな素材からクルマを作り上げるモデラーたちは最上級の存在だ。
日本中のモデラーが驚いた、熟練モデラーが生み出した「ロードスターRF」を紹介しよう。
文:WEB編集部/写真:Katsu
実車さながらの精巧さ
先日5月11日から14日まで静岡で開催された静岡ホビーショー。静岡がお膝元のタミヤなど、世界的なプラモデルメーカーが参加するショーだ。
ここに一際目立つ「作品」がディスプレイされた。それがKatsuさんが製作した「ロードスターRF」。
タミヤの「ロードスター」の1/24モデルをベースに、リトラクタブルハードトップを持つ「RF」を自作してしまったのだ。
もちろん「RF」の製品化はされておらず、1/24スケールで再現したのはKatsuさんが世界初のはずだ。
しかもなにが凄いって、このRFは電動で動くというところ。まずは動画でご覧いただこう。
マツダ愛から生まれた1台
この超絶的な技法を持つKatsuさんになぜRFを作ったのか話を聞いてみた。
「RFに関してはNC型のRHTのようなクルマを予想モデルとして、ND型で市販される前に作ろうと画策していました。
そうこうしていたら実物のRFが発表になってしまったんですよね。ベースはNDのロードスターがタミヤから出ているのでそれを使うことにしました。せっかくなら電動化しようと思って」
実はKatsuさん、大のマツダ党。なんたってマツダのクルマしか作らないと自分に課していて、最初にフルスクラッチしたのは愛車だったランティスクーペ。渋すぎる。ちなみにいまはアクセラ(BL系)が愛車という。筋金入りだ。
「今回苦労したのはその電動メカニズムのスムーズさですね。実車は非常に滑らかに動きますから、1/24スケールとはいってもカクカクした動きになってはいけないです。
そこは可動部をコンマ何mmという世界で削ったりして何百回も調整を繰り返しました。」
動きの滑らかさを追求するためのトライ&エラーは1カ月に及んだという。素人目線だとどのようにルーフを格納させるかがかなり難しく思えるが、そこは20年以上のフルスクラッチ歴で頭のなかにイメージがわりとすぐに湧いたそうだ。
しかしこの電動開閉のギミックは実はシークレットで製作していたのだという。
「リアルを追求することはモデラーたちの宿命なのですが、そこに”動く”という要素を入れてみたかったんです。
でもタイヤを回転させるのはあまりにも捻りがないし、RFの複雑な開閉シーンだったら見応えがあると思って。でも当日のショーのスタートまでそれはシークレット。当日は開閉の瞬間に拍手までもらえて嬉しかったです」
「リアル+動く」。この方程式、今後のモデリング界のトレンドになるかも!?
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