6月17日〜18日にフランスのサルテ・サーキットでおこなわれるル・マン24時間耐久レース。
そこで最多の18勝を誇るポルシェが東京は六本木でル・マンへ向けての発表会をおこなった。
当初はル・マン参戦マシンの展示、そして社長挨拶とのことだったが、なんとそこで2020年にEVを国内投入するという驚くべき発表があった!!
そしてなぜかトヨタGAZOOレーシングの重鎮も会見場に登場!? その様子は後半でレポートします。
文:ベストカーWEB編集部/写真:塩川雅人、ポルシェ
意外にも長い歴史を誇るポルシェのEV
ポルシェといえば長年の歴史を持つ自動車メーカーであると同時に、911に代表されるスポーツカーブランドのイメージが強い人も多いだろう。
6月13日に東京・六本木で行われた発表会は、過去のル・マン制覇マシンなどをイメージしたプロモーション・ムービーから始まった。
その後、ポルシェジャパンの七五三木(しめぎ) 敏幸社長の思いもよらぬスピーチが始まった。
「今年のレースがどうであれ、2018年もル・マンに参戦します。レースであると同時に市販車開発の場として捉えているからです。
そしてこの”Mission E”をご覧ください。東京オリンピックが開催される2020年は、ポルシェが日本市場へEVスポーツカーを投入するまたとないチャンスです。日本国内への導入のため専任のプロジェクトチームを作って準備を進めております」
メイン写真の”Mission E”は2015年のフランクフルトショーで発表されたモデルで、ル・マンで活躍するポルシェ919のハイブリッド技術を活かしている。
2基のモーターを搭載した4WD、そして4輪操舵、そしてパワー出力は600psにも達する。これまでは「ふわっと」2020年までに販売する、との発表はあったが2020年に国内で発表すると公言したのは初めてのこと。
またEVやPHEVの国内販売シェアを伸ばすことにも言及し、七五三木社長は「総販売台数の10%以上をEVとPHEVにする」と発表。
この発表はあまりにも急な発表に思われがちだが、ポルシェは電動化に関してはかなりの老舗。
1900年頃から創業者のフェルディナンド・ポルシェがEVの「ローナー・ポルシェ」を発表していたり、またガソリンとモーターを併載した「ゼンパー・ヴィーヴァス」も開発。
電動化のパイオニアだけに、ル・マンの技術は積極的に市販車に転用する方針とのことだ。
すでにプラグインハイブリッドモデルは市販化しているポルシェだが、今後はル・マン参戦中のポルシェ919のように、加速中の排気ガスも回生してエネルギーに変える市販車が登場するかもしれない。
宿敵トヨタと日本で前哨戦がスタート!?
昨年のル・マンでは残り3分でマシントラブルでリタイアを余儀なくされたトヨタ。
日本メーカーとしてはマツダが、日本人ドライバーとしては荒聖治選手らが制覇しているル・マンだが、日本メーカーのクルマで日本人ドライバーがドライブしたクルマの総合優勝はこれまでない。
今年は3台体制で各車に日本人ドライバーを搭乗させるなど万全の体制をとるトヨタだが、そこに立ちはだかるのは18勝のル・マン最多勝記録を持つポルシェだ。
アウディが出場を取りやめていることから一騎打ちになる今年。今回の発表会ではトヨタGAZOOレーシングから北澤重久氏が登壇。
ポルシェの発表会にトヨタの人間が来るとは異例の光景だが、エール交換会ということで実現した2ショットだ。
和やかムードかと思いきや「今年は残り3分といわずに、1分までは頑張ってほしい」とポルシェの七五三木社長がいえば、「今年は24時間走り切りますので、大丈夫です!!」とGAZOOの北澤氏。
すでにバチバチモードだ。最後はにこやかに握手となったが、今年も最後まで目の離せない死闘が繰り広げられるのだろう。
ル・マン24時間耐久レースはいよいよ今週末、6月17日(土)〜18日(日)、フランスのサルトサーキットで開催される。
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