クルマで聴きたくなる曲
運転中は音楽をかけた。矢沢永吉やユーミン、サザンオールスターズ…。銀蝿でデビューしてからは、もちろん自分たちの曲だ。
「クルマと音楽って、セットじゃないですか。音楽のいいところは、聴くと、あのときどうしたかって思い出せるところ。銀蝿の曲はなんといっても、クルマに合いますからね」
たしかに、それは今の時代でも変わらないだろう。銀蝿のヒット曲の数々を、試しにカーステレオで流してみる。ノリの良さに背中を押され、街中を走っていても、ついアクセルを必要以上に踏みたくなってしまう。そして、何よりも大音量が似合う。
クルマは1人になれる空間でもあった。
「けっこう考えがまとまるんです。デスクで何かしているよりも、運転してるときがいい。集中力が高まる」
銀蝿時代のことだ。銀蝿の弟分だった嶋大輔に提供した大ヒット曲『男の勲章』の歌詞の2番がなかなか浮かばない。横浜の自宅から第三京浜を通って、渋谷の事務所に向かう途中、運転しながら不意に歌詞がひらめいた。
「『ガキのころ 赤トンボ 追いかけてた時の…』って出てきて。これ、いいじゃんって。締め切りの日でしたね」
その意味では、『男の勲章』はカーステレオで聴くと、一層心に響く曲なのかもしれない。「そうですね。でも、どれもクルマで聴けるような曲を作ってましたから」
再び手にしたギター
40周年の節目の今年は、7月28日に銀蝿としてNHKの歌番組「うたコン」にも生出演し、憧れの場所だったNHKホールでギターを弾いた。演奏したのは、今年の話題曲『ツッパリHigh School Rock‘n Roll(在宅自粛編)』だ。
「まさか人前に立つとは、思っていなかったんです。2018年11月、銀蝿のディレクターだったキングレコードの水橋春夫さんが亡くなって、偲ぶ会で、20年ぶりぐらいに翔くんに会って、40周年だから1年限定で一緒にやらない?って誘われた。20年弾いてなかったし、無理と言ったんだけど。こうやって会えたのは水橋さんのおかげかなって。そこから真剣にギターを練習して。2019年3月にリハーサルをやったら、楽しくて。それで、やりたいなって思ったんです」
普段は、キングレコードの関連会社ベルウッド・レコードの社長として多忙な日々を送る。銀蝿への参加を決めてからは、本業の合間に、ステージに立つ身だしなみとして、身体を絞り、食生活も気を付けてきた。体脂肪は10%未満とアスリート並みだ。
「今回の40th (フォーティース)で心掛けているのは、とにかく限られた時間なので、何かやったことに後悔することはやめようと。めいっぱい楽しんじゃおうと思っています。過去はどんなにくよくよしても直せないけど、未来は変えられますから」
来春からは、全国6カ所を回る「横浜銀蝿40th コンサートツアー2020~It’s Only Rock’n Roll集会 完全復活編 Johnny All Right!~」が始まる。
「近場は、今回も愛車で現地解散、現地集合ですね。もちろん、今は(昔のように前のクルマを)全部抜かさないですよ、何かあったらみんなに迷惑をかけちゃうから(笑)」
音楽の話をしているときも、運転好きの素顔がのぞいた。
9月24日発売のシングル『昭和火の玉ボーイ』。カップリングには『ツッパリ High School Rock‘n Roll(在宅自粛編)』を収録 https://kingeshop.jp/shop/pages/yg40shtb.aspx
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