■ホンダシビック(B16A)
1991年9月に5代目の「スポーツシビック」が登場した。若者がターゲットの3ドアモデルは「ワンルーム&ツインゲート」をテーマに開発され、リアを上下開きのツインゲートとしている。
4ドアセダンには「フェリオ」のサブネームが与えられた。
フラッグシップのSiRが積むのはパワーアップされた1.6LのB16A型直列4気筒DOHC4バルブだ。バルブタイミングとリフト量を変化させるVTEC機構を組み込み、自然吸気エンジンでレーシングエンジン並みの170ps/7800rpmを達成している。
リッターあたり出力が100psを大きく超えるDOHC・VTECエンジンは、クラス最強の実力だった。5速MTはその気になれば8000回転まで実用になる。
本領を発揮するのは6000回転から上で、カムが切り替わると加速に弾みがつくとともにエンジン音も変わった。
サスペンションは、ぜいたくにも4輪ダブルウイッシュボーン。パワフルなエンジンに負けない軽快な身のこなしが自慢だった。これに続く6代目では究極の走りを目指したテンロクスポーツ、「タイプR」が登場する。
もちろんタイプRは今に至る伝説を作ったが、それもこのモデルの活躍と支持がなければ存在しなかっただろう。
■マツダロードスター(B6-ZE)
オートバイ感覚の爽快なオープン2シーターモデルが1989年夏に登場したマツダのロードスターだ。
最大の特徴は、気持ちいいハンドリングを味わえるFR方式を採用したことである。FF車が蔓延するなか、古典的なFR方式で真っ向勝負を挑んだ。
パワートレインはB6-ZE型と名付けられた1.6Lの直列4気筒DOHC4バルブで、これを縦置きマウントした。
デビュー時は5速MTだけの設定で、最高出力は120ps/6500rpmである。驚いたことにレギュラーガソリン仕様だった。
ロードスターの魅力は、ドライバーの技量に応じて走りを楽しむことができることである。速さよりも操る愉しさにこだわっていた。
サスペンションは4輪ともダブルウイッシュボーンだ。
気持ちいい走りを実現するために軽量化を徹底し、アルミ製のボンネットなどを採用して車重を950kgに抑えた。だからヒラリとした軽快な走りを存分に楽しむことができる。その後1.8Lエンジンを積んだ。が、1.6Lエンジンの復活を望む声が多かったため、再び主役の座に返り咲いた。
■三菱ミラージュ(4G92)
第4世代のミラージュは1991年秋に登場した。
丸みを帯びたクリーンなフォルムに生まれ変わり、外観からもフレンドリーなことが分かる。だが、走りは刺激的だ。とくにこだわったのはパワートレインで、ガソリンエンジンはDOHC4バルブを主役の座に据えた。直列4気筒だけでなくV型6気筒も設定するが、走りの主役はモータースポーツでも活躍している1.6Lの4G92型DOHC4バルブだ。気持ちよく高回転まで回り、しかも実用域のトルクも豊かだから扱いやすかった。
刺激を求める走り屋たちのために、1992年秋のマイナーチェンジのときにマルチモード可変バルブタイミング機構のMIVECを採用した4G92型エンジンを投入している。最高出力は175ps/7500rpmだ。
6000回転を超えてからパンチ力が大きく変わり、異次元の加速を披露した。サスペンションもストラットとマルチリンクの組み合わせだから、強大なパワーに負けない正確なハンドリングを身につけている。操る楽しさは格別だ。
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