学生たちが自ら企画立案した車両を製作し、コンセプトやコスト、車両の性能などを競い合う「学生フォーミュラ日本大会2022 ものづくり・デザインコンペティション」が9月6日(火)~10日(土)、静岡県の掛川市のエコパで3年ぶりに開催される。
本番の約一か月前となる8月上旬、参加チームの合同試走会が行われた。多くの車両がドライバーの後方にエンジンやモーターを積む、RRレイアウトを採用する中、1台だけドライバーの真横にエンジンを搭載している独創的なフォーミュラマシンを発見。
しかも、その車両は日本の大学で最高難度を誇る、東京大学が手掛けた車両なのだ。
文、写真/青山義明
【画像ギャラリー】激写成功!! これが東大製のフォーミュラカーだ(4枚)画像ギャラリー東大チームはICVクラス(ガソリン自動車)に出場
本題の前に、まずは学生フォーミュラについて説明しよう。この大会は学生たちがモノづくりを通して、そのアイデアや技術を競うもの。学生たちが自ら小型フォーミュラカーを使ったビジネスの構想を立て、それを売り込むという流れで審査が行われる。ほぼ世界共通のレギュレーションとなっており、海外でも開催中。日本では2003年から始まり、今年での20回目の開催となる。
現在はICV(ガソリン自動車)とEV(電気自動車)という2つのクラスがあり、ガソリン車は710cc以下の4サイクルエンジン、電気自動車は最大出力80kW以下(モーター数の制限なし、最大電圧600VDC)と決められている。今回紹介する東京大学のマシンは前者に属し、2輪用のエンジンを流用している。
東大の学生フォーミュラチームは優勝経験のある強豪チーム
「東京大学フォーミュラファクトリー(The University of Tokyo Formula Factory、UTFF)」は、東京大学内のものづくりサークルとして活動をしている学生フォーミュラチーム。2002年に発足し、2009年には総合優勝に輝いている。
UTFFが製作した車両は、ドライバーの右隣にエンジンが鎮座するMRレイアウトを採用しているが、突然このマシンを思いついたわけではなく、長年このレイアウトのマシンで参戦を続けている。エンジンはスズキのスカイウェイブに搭載されている並列2気筒の638cc。
スカイウェイブは二輪車として世界初となる電子制御式CVT(SECVT)を搭載したモデルで、UTFFはこのCVTに注目。他チームが搭載するエンジンよりも大きくなるため、必然的にこのレイアウトになった。ちなみに学生フォーミュラ参戦車両の中で唯一のAT車両。
チームはこのCVTに独自の制御を加え、AT車の「Easy Drive」をさらに進めている。CVTを目いっぱい活用できれば、非力で思いエンジンという、デメリットも解消できるとしている。
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