50代以上のおじさんたちがまだ若かった1980年代、世はスターレットターボやCR-X、シビックなどボーイズレーサーブームだった。あの時代のEP71型スタタボや初代CR-X Siは今買えるのだろうか? 当時のベストカーのインプレッションとともにお伝えしていこう。
文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカー編集部
■あの頃に戻りたい!
いま、50代以上のおじさん世代は、何のクルマに乗っているだろうか? 1980年代後半から1990年代にかけて10代後半から20代にかけて、50代の筆者の回りは、クルマ好きで溢れていた。
ワンダーシビックSi、初代CR-X Si、2代目CR-X SiR、そして韋駄天ターボのEP71型スターレットターボ、シャレードターボと、150万円以下で買えるホットハッチがたくさんあった、いい時代だった……。
しかし、新車を買えるはずもなく、ほとんどの友達はバイトして頭金を貯めてローンで買っていた。そんな時代にあっても、貧乏学生だった人のほとんどは、こうしたクルマも買えなかったのが現実。
青春をもう一度ではないけれど、あの頃に欲しかった、あの頃に乗っていた、そんなクルマにもう一度会いたい……と、いう人も多いのではないだろうか。ざっと30年前に戻ることになるけれど……。
そこで、あの時代に特に目立っていた、韋駄天(いだてん)こと、1986年1月に登場したEP71型スターレットターボをメインに、当時、どんなクルマだったのか、ベストカー本誌のバックナンバーから抜粋しながら、紹介していこう。
まずは、1986年3月10日号の竹平素信氏によるスターレットターボの試乗記から。
さて、待望のイダテンターボの性能を味わってみよう。もうおなじみ2種類の過給圧が選択できる2モードターボシステムは、はじめから通常モードにスイッチオン。間違えないでほしいがターボパワーをフルに発揮するほうが通常モードであり、セーブしたほうがLOモード、HIという言葉を使わないあたりがいかにもトヨタらしいところ。
エンジンは予想していたとはいえ、すばらしくパワフルだ。とにかく加速の凄さは目をみはるばかりで、ただただ速いというしかいいようがないほどである。
たしかに強烈な加速を見せつけてはくれるが数年前にデビューしたシティターボほどの過激なイメージではない。シティターボでは急激に盛り上がるパワーがあまりにも乱暴すぎ、過激なジャジャ馬的なクルマだったが、スターレットターボはそれ以上のパワーの持ち主ながらさほど乱暴的ではないのだ。
その1つはエンジンパワー特性にある。2E-TELUは低回転からも十分なトルクが発揮でき、パワーもある回転から盛り上がるタイプではないから、予想以上になめらかな加速をしてくれる。
もう1つはギアリング。ターボ車は1速のギア比がEFI車Siの3.545に対し、3.166とは意ハイギアになり、さらにファイナルギアもEFI車の3.941から3.722に高められた。つまり一連のトータルギアレシオが大幅に高められたおかげで強烈なターボパワーをスムーズに路面に伝えている。
ともかく、最高出力105ps、最大トルク15.2kgmを発揮する2E-TELUは車重約800㎏の試乗車をスロットルの軽い操作と思い通りともいえる、加速、スピードの世界へと導いてくれる。痛快このうえないのだ。
エンジンはとても扱いやすい特性で、ほぼ2000回転も回っていれば5速でもギグシャクすることなくスムーズな加速をみせるほどだが、ターボパワーを有効に使って走りを楽しもうとするなら3500回転をキープしたい。この回転ではほぼマキシマムトルクを発生し、スロットルに対応して鋭い加速が始まる。
パワーの落ち込みは6000回転あたりから徐々に感じられるが、1速ではレッドゾーンの始まる6700回転まで一気に吹けあがってしまうほどだ。フューエルカットは7000回転ちょうどで働いていた。
スポーツフォール的にはもう少し高回転向けのエンジン特性にしてほしい感じもあるが、吹け上りがとてもスムーズで、しかも小排気量の1.3Lターボエンジンにしては幅広いパワーバンドを持っているからこれ以上の文句はつけられまい。
ともかくこれだけのパワー&トルクを発揮するターボエンジンながら扱いやすい特性は感激もの。ただ、低速域のトルクが太すぎて1速で多少乱暴なクラッチミートを、せいぜい3000回転あたりでやってみたら激しいホイールスピンが、発進はスムーズに、気を配ってやらないとタイヤのスキール音でクレームが出かねないぞ。
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