カローラスポーツ、アルファードなどから、トヨタのデザイン論をひも解く デザインは本当によくないのか?

■プリウス(マイナーチェンジ前)

現行型プリウスは2015年12月発売。販売台数トップを狙えるトヨタ車にしてはかなり挑戦的なフロントマスクを採用した。数多く売れたものの反発もあり、2018年12月のマイナーチェンジでは、ややおとなしい顔にチェンジ。写真はマイチェン前です

村上隆氏のポップアートである。顔は歌舞伎、お尻はブレードランナー。前衛なのである。あまりにも前衛すぎ、自己主張が強すぎて、多くの人には受け入れられなかった。マイナーチェンジによって自己主張を抑えた結果、毒にも薬にもならない退屈なデザインに回帰した。

■キーンルック全般(ヴィッツ、カローラスポーツ、エスティマ、マークX、MIRAIなど)

写真は2018年6月に発売されたカローラスポーツ。キーンルックはグリル中央部にエンブレムを置き、そこから左右に広がるようなラインと台形グリルを特徴としたトヨタのデザインフィロソフィ

韓流スター予備軍である。「スター」まで行っているものはまだないが、とにかくカッコよくなろうと努力している。ただ、それがカラ回りしている場合も少なくない。

■トヨタ車のなかでも「いいデザイン」は?

では逆に、現行トヨタ車の中で、私が考える「正統派のいいデザイン」にはどんなものがあるか。

〇シエンタ

現行型シエンタは2015年7月に発売。「涙目」のような独特なライト回りのデザインとパステルカラーを前面に押し出したボディカラーが特徴

シトロエンを発展させたようなフロントフェイスをはじめ、全体に統一されたポップなデザインが、楽しい生活を予感させてくれる。パッケージングも実に優れている。

〇センチュリー

現行型センチュリーは2018年6月発売。「あえて」の超キープコンセプトながら、どことなく21世紀の風味もあり、優れたデザインとして高評価されている。豊田章男社長の移動車としいぇGRMN仕様が2台存在することが明らかにされた

超レトロで時代遅れなデザインテーマをしっかり生かしつつ、モダンに仕上げているところが凄い。歴代センチュリーの中で、最もデザインが完成されている。もともとチョンマゲのようなデザインだったのだから、その手腕は見事。

〇C-HR

2016年12月発売。ガンダムっぽいメカメカしいフォルムながら世の中のデザイン的な評判はそれなりにいい。日本におけるコンパクトSUVブームの牽引役で、販売的には大成功

これもクルマ好きの間ではあまり評判がよくないが、それは先進的なデザインである証し。攻殻機動隊を思わせるアニメ的な彫の深いデザインは、やりすぎなくらいデザイン優先だが、全体のバランスが非常にイイ。しかもこの挑戦的なデザインが、国内で売れに売れているのだからスバラシイ。

次ページは : ■トヨタのなかでも「よくないデザイン」

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