魔法のような塗装もいいことばかりじゃない
小キズを自己修復してくれる塗装は、まさにオーナーにとっては魔法のような塗装と映る。誰もがウェルカムで、できるだけたくさんの車種に拡大採用してほしいと願うシロモノだ。
では、絶大なるメリットのあるスクラッチシールド、セルフリストアニングコートの注意すべき点とは何か?
■すべての傷が自己修復するわけではない
どんな傷でも自己修復するのではない。自己修復するのは、ベースコートまで達しないスリ傷と認識しておこう。クリア内で収まるスリ傷でも、傷の深さや長さ、気温により自己修復にかかる時間は変わってくる。一般的に温かいほうが自己修復スピードが上がる傾向にあるため、冬場より夏場が好条件。
■特殊な塗装と認識すべし
クルマをブツけたり、飛び石などにより自己修復するレベルを超えた傷ができた場合、修理費が高くなる。程度にもよるが、通常塗装のクルマに比べて2〜3倍の塗装料金となる場合もある。
この魔法のような塗装が安いクルマに設定されないのは、修理費の問題が大きいと思われる。
■持ち込める業者が限られる
特殊なクリア塗料に加え、再塗装後に磨くことに関しても特殊技術を要するため、修理する場合どこでもできるわけじゃない。基本的にディーラーが最も安心ということになる。
■安物買いの銭失いになることも
特殊な塗料、特殊な技術を必要とするがゆえに、設備が整っていない場合、修理を断わられる。しかし、断わる業者は良心的。特殊塗料もないのに引き受け、ノーマルのクリアですます業者もいるので要注意。
塗装代が安いからと安易に任せると、ほかの部分と微妙に色味が違ったりする。フッ素コート初期段階でも多発したトラブルで、元に戻すには全面的に塗り直すしかない。
■雨に強いはずが、雨は天敵!?
クリアの塗膜は柔軟性があり、しかも撥水性ということで気をつけなければいけないのが雨粒。雨粒はルーフ、ボンネットなどに陥没染み(クレーター)ができる要因のひとつだが、柔軟性があるがゆえにへこみやすい(分子レベルでの話)。
それゆえに通常塗装よりも陥没染みができるスピードが早め、という報告もある。小キズは自己修復するが、陥没染みは自己修復しないので、購入前にディーラーで確認しておきたい。
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愛車の塗装がすでにスクラッチシールドやセルフリストアニングコートの場合、デメリットを覚悟したうえで、メリットを最大限に堪能してほしい。これから購入しようとしている人は、メリット、デメリットをしっかり把握したうえでチョイスしよう!
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