こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】 iQが世界に示したトヨタの小型車技術の真髄!

■スマートとの違いはどこにあったのか?

 そんな時代背景において、2008年に誕生したのが「和製スマート」こと、トヨタiQであった。日本にはマイクロカーとして軽自動車が存在していたが、その軽自動車より短い全長は、見る人に衝撃を与えた。もちろんiQは、日本だけでなくグローバルで販売され、スマートのようなマイクロカーの需要に対してトヨタが開発した気鋭のモデルであった。

 ただ、iQはスマートと違って4人乗りである。トヨタとしても史上最小クラスのボディサイズでありながら、4人乗りとはどういうことか? 実際に乗ってみると、後席はたしかにものすごく狭い。前席を思いっきり前方へずらさないかぎり、とてもじゃないが小太りな中年男性では後席には座れない。

 そう考えると後席は完全に物を置くためだけの場所ではあるが、スマートと違って後席がある(子どもなら座れる)というのは、ひとつの価値じゃないだろうか。しかもこのクルマ、世界初のリアウインドウカーテンシールドエアバッグを搭載していて、後席乗員の安全性に対してもしっかり配慮されていたのだ。

このように俯瞰で見ても、後席スペースがあるとは思えない! これが4人乗りだというのだから驚きだ
このように俯瞰で見ても、後席スペースがあるとは思えない! これが4人乗りだというのだから驚きだ

 そしてもうひとつ、スマートと違ったのは、駆動方式がFFだったこと(スマートはRRである)。省スペース大国の日本が発展させたのがFF。限られた車内スペースをなるべく広く使おうとする大きな志を持ったマイクロカーなのである。

 一方で、走りはどうだったか。FFであることがマイナスに影響することは特に感じられない。サスペンションは硬めに設定されていて、その全長の短さからは想像できないくらいコーナーでも安定していた。ボディも剛性が高く感じられ、上級車のフィーリングだった。さらに、最小回転半径は当然ながら当時のどの軽自動車よりも小さく、スマートよりも小さかった。狭い路地が舞台なら、これも立派なアドバンテージである。

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