クルマ好きの間ではよく知られたミニの「ゴーカートフィーリング」だが、これって本当のところはどういった感覚なのだろうか。
本稿ではミニの代名詞であるゴーカートフィーリングに迫りながら、同様のフィーリングが味わえるモデルをクローズアップしてみた。
文/フォッケウルフ
写真/BMWジャパン、ダイハツ、ホンダ、スズキ、フォルクスワーゲンジャパン、ステランティスジャパン、トヨタ、フォッケウルフ
■カートを運転する感覚とは?
「ゴーカートフィーリング」とは、文字通りの意味で「ゴーカートに乗っているような運転感覚」のことを指す。「ゴーカート」は、むき出しのパイプフレームにエンジン、タイヤ、シート、ハンドルといった部品を取り付けたシンプルな構造の競技用車両のことで、日本ではレーシングカートとも呼ばれている。
タイヤがボディの四隅ギリギリの場所に配置された見た目は、まさにレーシングカーのミニチュア版といった趣きで、じつにスパルタンだ。シートに身体を収めてみるとまるで地べたに座っている状態になり、このときの視点の低さがスピード感を味わわせてくれる要因になっている。
ハンドルは一般的なクルマと同じく円形だが、「回す」ではなく「切る」とか「入れる」という表現が適切で、一般的な乗用車のようにパワーステアリングなどの機構は備わらず、車軸と直接繋がっているためハンドルを切る量が圧倒的に少ない。操舵感は重いが、ハンドル操作がダイレクトにタイヤに伝わってレーシングカーをドライブしている気分にさせてくれる。
こうしたゴーカートのような運転感覚を標榜したクルマといえばミニであり、さまざまなメディアで展開されるミニの試乗記事のほとんどに、「ゴーカートフィーリング」という表現が用いられている。
ミニがゴーカートフィーリングを持ち味とする理由として、コンパクトなボディサイズに対して、ホイールベースが長めに設定され、さらにトレッドも広く、着座位置が低いことが挙げられる。つまり、基本的なディメンションがゴーカートに近い設計になっているわけだ。
そのうえボディ剛性を高めたことや、ややハード志向なサスペンションセッティングを施していることが操舵に対するレスポンスのよさに貢献しており、これもゴーカートのようなキビキビとした軽快なフィーリングをもたらす要因となっている。もちろんリアルなゴーカートとは違って公道を走る乗用車なので、操舵に対する反応がよすぎると運転に不慣れな人にとっては危険過ぎる。
そこでミニは、フロントサスペンションをストラット、リアには接地性に優れたマルチリンクを採用し、さらにDSCなどの電子デバイスによって挙動の安定化を図ることで、独特のハンドリングを安心して楽しむことができるように仕上げられている。
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