【愛すべき日本の珍車と珍技術】 夢を現実化したWiLL Viの誕生は現代のおとぎ話?

【愛すべき日本の珍車と珍技術】 夢を現実化したWiLL Viの誕生は現代のおとぎ話?

■シンプルでありながらファニーなデザイン

 外観デザインは、まさに特徴の極みだった。ターゲット層である若い女性に合わせて(?)、デザインテーマは「かぼちゃの馬車」とされている。シンデレラに出てくるかぼちゃの馬車は、車輪のついた大きなかぼちゃを馬が引く形だが、WiLL Viには当然、馬はいない。しかしキャビン部分が、まさにかぼちゃのようにぽっこりと膨れ上がっている。

 フロントとリアは前後方向にストンと曲線を描いて下がっており、こちらも中央のキャビン部を強調。また、キャビン後方のCピラーは、上部が長い逆スラントになっているのがポイント。

 さらにボディサイドやボンネットには、かぼちゃのスジのようにへこみラインが入っている。この逆スラント形状やへこみラインは芸術的で、シトロエンにあっても不思議じゃない。

 当時、売れに売れまくっていたヴィッツやファンカーゴが採用するトヨタのコンパクトカー用プラットフォームが使用されており、同様の1.3Lエンジンを搭載。あのコンパクトカーから、よくもこれだけ異質なデザインが生み出せたものだと感心しきりである。

一見シャープに見える平面を貼り合わせたような造形で、馬車のようなシルエットを生み出している
一見シャープに見える平面を貼り合わせたような造形で、馬車のようなシルエットを生み出している

 もちろん、インテリアデザインも特徴的だ。インパネ上部はふわっとした塊感のある形状で、ブラウン系の色合いもあってなんだかパンのよう。中央にはファニーなデザインのセンターメーターがぽっこりと備えられている。

 現代のクルマのようにボタンなどついていないステアリングも、中央部に三本のへこみラインがあるだけのシンプルなデザインが好印象。なんといってもコラムシフトがまたオシャレである。

 シートは白っぽいカラーリングにベンチタイプだったのが印象的。シート表皮も肌触りがよくて、サイドには布製のポケットがついていた。

 残念ながら後席は、足元スペースが狭く、またシートバックも垂直に近い角度で立っていたため、少々窮屈に感じた。コンセプトは馬車でありながら、WiLL Viは後席ではなく助手席にお姫様を乗せる仕様になっていたようだ。

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