■独創的な発想と技術で未体験の楽しさをもたらす
見どころは多々あるが、エレメント最大の特徴は両側観音開きのサイドアクセスドアだろう。左右の前後ドアがガバっと開く様は、当時はもとより今でも絶大なインパクトを放つエレメントのアイデンティティとなっている。
ドアを開けたときの光や風が一瞬のうちに迫ってくる感覚は、他のクルマにはないものであり、これだけでエレメントを選ぶ理由になり得る要素でもある。しかも、このサイドアクセスドアはフロントが最大78度、リアは90度まで開き、すべて開くと高さ1140mm、幅1550mmという大開口を実現する。
大きく開くのはドアだけではない。テールゲートは上下分割で開く構造とし、上下を開けた状態では高さ1025mm、幅1110mmというミニバンを凌駕する広い開口を確保している。しかも上下が分割して開閉できるので、小さな荷物だけなら上部ゲートを開けるだけ、荷室フロアと一直線につながっているロアゲートを開ければ大きめの荷物もスムーズに出し入れできる。
成形自由度の高い樹脂製タンクの採用や、リアサスペンションレイアウトに工夫を施すことで実現したホンダのお家芸ともいる低床フラット設計としているのも注目すべきポイントだ。特に荷室は広さ、使い勝手ともにミニバン的で、多彩なシートアレンジによって荷物の積みやすさはもちろん、身長180cm程度の人が横になって眠ることも考慮されている。
キャパシティの大きなスペースを持つので、キャンプ道具やウィンタースポーツのアイテムだって余裕で積載できるし、ゴルフやサイクリング、サーフィンなど、さまざまなアクティビティを存分に楽しめる。実用性だけで勝負するなら、昨今のSUVで太刀打ちできる車種は存在しないかもしれない。
センターピラーレス構造ではボディ剛性の不足が懸念されるが、エレメントは部材の大断面化と各ジョイントの大型化を図ったうえで、素材の最適化や補強材の採用などにより、センターピラーのあるクルマと同等の高剛性ボディを確保している。
しかも、ルーフライニングやダッシュボード、ドア、フロアに遮音・制振材を最適に配置することで優れた静粛性を実現するなど、開口部の面積が大きいがゆえのデメリットを解消している。
コメント
コメントの使い方