フェラーリは少量生産の神である
いったいなぜフェラーリは、これほどまでに頻繁なモデルチェンジが可能なのだろうか。
おそらくフェラーリは、市販モデルの開発に、F1マシンの開発手法を、かなり取り入れているのだろう。
F1マシンは1年ごとにフルモデルチェンジを繰り返す。しかもフェラーリは、現在でも車体とエンジンをともに自社開発するF1チーム。そのノウハウが、市販モデルの開発に流用されているのは確実だ。
フェラーリは自動車メーカーである前にレーシングチームであり、レース屋なのだ。数台しか作らないレーシングマシンを毎年開発するのに近い感覚で、市販モデルを開発してしまう。
トヨタが大量生産の神ならば、フェラーリは少量生産の神であると言うべきだろう。
フェラーリに近いペースでニューモデルを送り出しているメーカーに、マクラーレンがある。こちらもフェラーリ同様、F1マシンの開発ノウハウを生かしていると思われる。
ただしマクラーレンF1の場合、エンジンは自社開発せず、エンジンサプライヤーから供給を受けている。そのため市販モデルも、ベースエンジンはすべてV8ツインターボ(3.8L&4L)。
実質的には1種類のエンジンブロックですべてをこなしている。エンジンを新規開発する能力まで含めると、フェラーリはダントツなのである。
ただしフェラーリの場合、いわゆる「フルチェンジ」一代目のモデルには、問題点を持つ場合もある。その代表がV8ミドシップの348と360モデナで、どちらも操縦性に致命的な欠陥があり、限界域では非常に危険だった。
しかしそこはフェラーリの名声がすべてをカバーし、訴訟になったりはしない。「フェラーリはユーザーに実地テストさせている」と言われるが、そんなことが許されるのはフェラーリだけなのだ。
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