こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】 伝統と現代の感覚を調和させた「匠の技」を後世に伝えたオリジン

■当時の最新技術によってハイレベルなパフォーマンスを実現

当時の生産プレス技術では難しいとされるフロントフェンダー、クォーターパネルまわりを分割成形することで高品位なスタイルに仕上げられている
当時の生産プレス技術では難しいとされるフロントフェンダー、クォーターパネルまわりを分割成形することで高品位なスタイルに仕上げられている

 初代クラウンをモチーフにした外観はレトロ感満点だが、中身は当時の最新技術が数多く盛り込まれている。搭載されるエンジンは最高出力215PS、最大トルク30.0kg-mという動力性能を発揮する3LのVVT-i機構付き直6DOHCで、高効率でレスポンスに優れた特性を持つ電子制御フレックスロックアップ付き4速オートマチックを組み合わせることにより、高級車にふさわしい滑らかな走りを持ち味としている。

 そのほかにもFRレイアウトのプラットフォーム、4輪ダブルウィッシュボーンサスペンション、高剛性ボディの採用や制振材、吸遮音材の効果的な配置といった、クラウンやプログレ(当時)に由来する技術によって、優れた操縦性と走行安定性を実現しながら、しなやかで落ち着きのあるフィーリングが堪能できる。

 車両価格はプログレの約2倍、当時の最高級サルーンであるセルシオ(UCF20/21型)よりも高い700万円に設定されていた。かなり強気の価格設定だったが、外装がほぼ手作業によって製作され、内装も選ばれた熟練スタッフの手によるハイレベルな工作精度で仕立てられていることを鑑みれば、十分に納得できるものと言っていい。販売台数は限定1000台とされていたが、実際には1000台以上製造された。

 クルマはドライブしてこそ価値があるものだが、匠の手によって工芸的な美しさを実現したオリジンは、鑑賞して喜びを感じられる稀有な1台である。まさにクラフトマンたちの誇り高い作品と言っても過言ではないだろう。

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