2019年5月25-26日に恒例となっている三菱自動車主催の『スターキャンプ2019 in朝霧』が開催されたが、同日にスターキャンプ会場となったふもとっぱらキャンプ場近くの富士ヶ嶺オフロードで『パジェロファンミーティング2019』が開催された。
雲ひとつない晴天のもと、2日間で36組104名が集結し大いに盛り上がった。ここではその『パジェロファンミーティング2019』の模様をレポートする。
文:ベストカーWeb編集部/写真:平野学
意外なことにファンミーティングは初開催
三菱は日本の自動車メーカーのなかではファンを対象としたイベントを積極的に展開してきた。
WRCに参戦していた時の『チャンピオンズミーティング』はもの凄い数の集客を誇り、現在では『デリカファンミーティング』を開催している。
それにもかかわらず、三菱の顔とも言える『パジェロファンミーティング』は今回が初開催。1982年に初代が登場してから37年目にして初開催というのは意外だ。

実際に今回イベントに参加したパジェロオーナーのほとんどが、ファンミーティングの開催を心待ちにしていたようだ。
2018年4月、ここ数年の国内販売の落ち込みが顕著なことなどが要因となり、パジェロの国内向けの生産を8月で終了することを発表(海外でのパジェロ、パジェロスポーツの販売は継続)。
同時に37年間の感謝を込めてと銘打って、『パジェロファイナルエディション』を700台限定で発売を開始している。
三菱自動車では『パジェロファンミーティング』の次回はあるのかなどについては明言していないが、少なくとも今回の『パジェロファンミーティング2019』はパジェロが現役時代の最初で最後の『同志の集い』ということになる。
体験型の少数精鋭のファンミーティング
『パジェロファンミーティング2019』は、参加したパジェロオーナーにより濃い体験をしてもらうために参加台数を限定して開催された。参加したいが惜しくも抽選に漏れたオーナーも多数いたという。
「パジェロは大事に乗っているオーナーが多く、年配層だけでなく新たな若いオーナーもいるのでデリカファンミーティングのような大規模イベントも開催してほしい」、という参加者の意見が三菱自動車に届くことを祈る。


自分のクルマで特設オフロードコースを走行できる自走組とミスターパジェロ、世界一のパジェロ遣いなどさまざまな異名を持つ増岡浩氏のドライブするパジェロに同乗できる同乗組がほぼ半々に設定されていた。
夫婦、カップル、友人同士、ファミリーなどさまざまな形態で参加したパジェロオーナー36組(台)104名(2日間合計)が非日常の世界を体験した。
参加車両は現行モデルがほとんどを占めたが、今ではほとんど見ることのなくなった初代モデル、2500台限定のパジェロエボも登場し、注目を集めていた。
【参加車両の世代別内訳】
■初代(1982〜1991年):1台
■2代目(1991〜1999年):5台
■3代目(1999〜2006年):5台
■4代目(現行モデル:2006年〜):23台
■パジェロエボリューション(1997年2500台限定):2台
イベント会場には、三菱がパリ・ダカで初優勝した初代ベースのマシン、増岡氏が2002年にパリ・ダカで初優勝した時のパジェロエボリューションが展示され、パジェロオーナーを出迎えていた。

特設オフロードコースを愛車で走行
今回参加したパジェロのなかで、オーナー、三菱関係者から熱い視線が送られていたのは初代パジェロ。初代で唯一参加した車両だ。
愛知県在住のオーナー所有の初代パジェロは、約5年前に購入したもので、走行距離は19万kmほど。初代パジェロを見てひと目惚れして購入したという。

現代のクルマでは見ることがなくなったグリルガードを装着し、電動ウインチは現役で稼働中。これまでにエンジントラブルが1回あった程度でほぼトラブルフリーの元気ビンビンの初代パジェロだ。
それを証明するかのようにイベントでは自走組としてエントリー。今では当たり前になった走破性を高める電子デバイスなどいっさい装備されず、さらにトランスミッションは5MT。
今回の特設コースについて、「電子デバイスなどがない初代で走れる限界でしたね。アクセル、クラッチワークを駆使して走りました。大変だったですが走っていて楽しめました。これよりハードになるとウインチなどを使わなければいけなかったでしょうね」と、とても満足した様子。
そのほか、愛車で初めてモーグル路の走行やすり鉢を体験した人もかなりいて、スタッフの懇切丁寧な指導のもと非日常の世界を満喫して大好評。


増岡氏が運転するパジェロは異次元空間!?
増岡氏は、自らデモンストレーションランを披露してくれ、そのハードで迫力満点の走りに参加者は度肝を抜かれていたが、同乗組は、パッセンジャーシート、後席に乗り、「信じられない!」を連発。
増岡氏は百戦錬磨のプロドライバーで、同乗者がいる場合には安全マージンを残して走っているのは当然だが、「パジェロのことを知ってもらい、もっと好きになってもらうためにガンガン走りますよ」との宣言どおり、キレキレのオフロード走行で同乗者を異世界に誘った。

「自分が所有しているパジェロと同じクルマとは思えない」、「もの凄いスピードでオフロードを駆け抜けても安定しているので恐怖感はない」、「自分はパジェロの持っているポテンシャルの10%も引き出せてませんね(笑)」などなど、増岡氏のドライビングに感嘆すると同時に、パジェロを誇らしく感じているオーナーのうれしそうな顔が印象的だった。
増岡氏はトークショーでも市販車のパジェロにまつわる秘話、パリ・ダカマシン開発における逸話、ラリーでの仰天体験などなど、とっておきの話を披露してくれた。
参加者はパジェロファイナルエディションとの記念撮影、増岡氏からパジェロキャップを直接手渡ししてもらい、イベント終了。

「8月でパジェロの国内向け生産終了ということがアナウンスされながらもイマイチ実感が湧かなかったですが、イベントに参加させていただいて、終わるんだなという実感が湧いてきました」(参加者談)
国内向けの生産が終了しても世の中からパジェロがなくなるわけでもないし、パジェロは名車として語り継がれることは間違いない。オーナー諸氏には、大事に長く愛し続けてほしいと懇願する。

【番外編】デリカD:5オフロード試乗
『パジェロファンミーティング2019』が終了後に、プレス向けに最新のデリカD:5のオフロード試乗が開催され、ベストカーWeb編集部も体験してきた。
パジェロオーナーが走行したのとほぼ同じ特設オフロードコースを走ったのだが、その走破性にはただただ感嘆するのみ。

ミニバンということで背が高いのでモーグル路、すり鉢ではかなり車体が不安定になるのでは、と不安にもなったが、全くの杞憂に終わった。
デリカD:5に搭載されているAWC(All Wheel Control)は選べる3つのモード(2WD、4WDオート、4WDロック)が用意され、路面状況によって使い分けることができる。
ちょっとした悪路なら4WDオートで対処できるが、それでもダメなら最強の4WDロックをセレクトすれば、その威力は絶大。
タイヤが滑って、車体が流れようがアクセルを踏み続けることでトラクションを確保し、モーグル路だけでなくガレ場、荒れた登坂路もグイグイ進んでいく。
この時に怖くなってブレーキを踏んだり、アクセルを戻したりするとまた一からやり直し。怖くてもクルマを信じて踏み続けて吉だ。
デリカD:5はオフロードを走れるミニバンとしてライバル不在の独自のポジションを確立している。オフロード走行を実体験して、デリカD:5がファンから支持され愛し続けられている理由を実感した。
