こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】 ミラノと茅ヶ崎のカロッツェリアが組んで生まれたオーテック・ザガート・ステルビオ

■日・伊のカロッツェリアがタッグを組むということ

 見るからに特徴的なモデルだが、クルマのさまざまな部分にオリジナリティが散見され、手作りの少量生産だからこそ実現できた美しく刺激的なフォルムは、最大のトピックと言えるだろう。特にルーフ形状はダブルバブルと呼ばれるザガートの伝統的な造形の採用によって優雅な雰囲気が演出され、高級グランツーリスモ特有の存在感を際立たせている。

 フロント中央部にはオーテックの頭文字である「A」を模したエアインテークをあしらい、抑場のあるサイドラインやブラックスモーク処理されたリアのライトカバーなど、どこから見ても強烈なインパクトを放っていた。

 そして、ボンネットに組み込まれたサイドミラーは、ステルビオのスタイルにおける大きな特徴で、当時のリリースには「空力上の優位性のみならず、安全性でも優れており、ザカートデザインの新しい提案としてこのクルマのデザインの最大の特徴となっている」と、記されている。

 桜井氏の強い希望で取り入れられものと言われているが、スタイル全体で見るといささかまとまりに欠ける印象を持つ人もいたようだが、オリジナリティを主張するうえで絶大な効果をもたらした。

外装はボディパネルを手作業で加工して組み付けるという、カロッツェリアの伝統に沿った方法で製作される。ボンネットフードと前後バンパーはカーボンファイバー製だ
外装はボディパネルを手作業で加工して組み付けるという、カロッツェリアの伝統に沿った方法で製作される。ボンネットフードと前後バンパーはカーボンファイバー製だ

 スポーツモデルとして走りの能力が追求されていたのも見逃せない。パワーユニットは日産の高性能エンジンとして高い評価を得ていたVG30DET型エンジンが選ばれ、オーテックジャパンの手によって多岐にわたるチューンアップが施された。

 もともとVG30DET型エンジンは255ps/35.0kgmというパフォーマンスを有していたが、燃料供給装置や吸排気系が見直され、専用ターボとインタークーラー、オイルクーラーなどを装着した結果、290ps/41.0kgmにチューンアップされた。

 トランスミッションは、フルレンジ電子制御4速ATが組み合わされ、高級グランツーリスモに相応しい動力性能を存分に味わうことができた。

 パワーユニットを支えるシャシーにも徹底的に手を加えられている。フロントにはマクファーソンストラット、リアをセミトレーリングアームとしたサスペンションは、ダンパーとスプリングともに大幅に強化されたうえに、取り付け部も入念な補強が施される。また、ブレーキにも専用の4輪ベンチレーテッドディスクブレーキが装着されていた。

次ページは : ■卓越した技術力で日本の自動車史に名を刻んだ

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