こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】 ミラノと茅ヶ崎のカロッツェリアが組んで生まれたオーテック・ザガート・ステルビオ

■卓越した技術力で日本の自動車史に名を刻んだ

 ステルビオは、1989年3月に開催されたジュネーブモーターショーでプロトタイプがお披露目された後、市販される。生産予定台数は203台で、販売は世界を対象販売地域とし、日本に割り当てられたのは100台と言われている。

 特異なルックスで個性を主張した日伊合作の高級グランツーリスモであることだけでなく、超高価なプライスも話題となった。しかし、アクが強すぎるスタイルや手作りゆえの半年から1年という長い納期が災いし、話題を集めたわりに販売はいまひとつ。

 1870万円という価格もさることながら、搭載されるメカニズムがレパードと共通であったため、「レパードにザガートのボディを載せただけ」のカスタムカーという残念な見識もステルビオの販売に影響をおよぼしたのは間違いない。

ベース車の内装に本皮やウォールナットを貼り付けたように思えるが、ステアリングやシフトノブ、各種スイッチ以外はすべてステルビオ専用にあつらえられている
ベース車の内装に本皮やウォールナットを貼り付けたように思えるが、ステアリングやシフトノブ、各種スイッチ以外はすべてステルビオ専用にあつらえられている

 カーマニアなら、ザガート社が1918年に創業されて以来、一貫してハンドメイドの自動車製造を行ってきた歴史あるブランドで、ヨーロッパの主要な自動車メーカーのクルマをベースに数多くのスペシャルモデルを輩出してきた実績も把握しているだろうが、一般的にはそこまで特別なものだとは知る由もない。

 しかも、オーテックの高い技術力でチューンされた卓越した走りを体感する機会が容易に得られないとなれば、販売が振るわなかったことにも納得がいく。

 オーテックジャパンとザガートがタッグを組み、すべてに最高を目指して開発された希少な高級グランツーリスモは、予定されていた限定台数をすべて売り切ることなく生産が終了となる。

 ステルビオ以降、日本にはさまざまなコンプリートカーが生み出されているが、ステルビオほどに開発費がかけられ、非効率な手法によって作られたクルマは存在しない。

 商業的には失敗し、バブル期の珍車と揶揄されることもあるが、手に入れた人たちは、ステルビオに対して強い思い入れを持っていることは言うまでもなく、それゆえ30年以上の時を経た今も大切に所有していると聞く。それほどの価値があるということなのだろう。

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