【RAV4、シビックら日本に復帰した4台の精鋭】何が人気の明暗を分けたのか

トヨタハイラックス

価格帯:322万1000~375万6240円
日本での販売をやめた時期:2004年
日本で販売を復活した時期:2017年9月
2019年1~6月販売台数:3800台
2019年月販平均販売台数:633台

 ハイラックスはトヨタのピックアップトラックだ。1968年の発売以来、乗用車の5ナンバーサイズに相当する4ナンバー車を中心に発展してきたが、2004年に6代目で国内販売を終えた。

 7代目は海外市場を重視してボディが拡大され、4ナンバー仕様を設定できなくなった、というのが日本での販売をやめた理由だ。

写真は7代目ハイラックスで2004年にデビューして2015年まで販売されたが日本のマーケットでは販売されず一部のファンを悲しませた

 その後、2017年にタイから輸入する方法で、ハイラックスは国内販売を再開した。ただし日本向けの4ナンバーボディを開発したわけではない。全長は5335mm、全幅は1855mmに達する大柄なダブルキャブになる。最小回転半径も6.4mと大回りな1ナンバー車だ。

 販売再開の理由を開発者に尋ねると以下の返答だった。

「先代ハイラックスは、今でも(発売された2017年の時点で)日本国内において9000台所有されている。この乗り替え需要が期待できる。またピックアップトラックはタフなクルマだから、アウトドアライフの表現にもなる。なお2007年頃から、販売店がハイラックスの国内復活を希望するようになった。そこで販売の再開を検討したが、いろいろな理由で見送られた。今回は3回目の検討によって販売を再開できた」。

 2008年9月末からのリーマンショックによる世界的な不況などもあり、国内販売の再開が先伸ばしになったようだ。

 ただし「9000台保有されている」という先代ハイラックスは純粋な商用車として使われるが、現行型はダブルキャブの4WDでボディも大柄だ。

 クルマの性格が大幅に異なり、価格も現行型はベーシックなXが332万1000円、上級のZになると375万6240円に達するから、先代型の130~140万円に比べると大幅に高い。

ハイラックスは日本で復活し、日本では少数派のピックアップで押し出しもきくということで若年層から支持を受け、小さいながら新たなマーケットを開拓

 従って発売後に改めて開発者に尋ねると、「先代型から乗り替えたお客様はほとんどいない」との返答だった。

 その代わり「クルマ離れといわれる20代から30代のお客様が多く、ディーラーオプションのベッドライナー(荷台のキズを防ぐ樹脂製の内張り)を大半のお客様が装着する。ファッショナブルで実用的な新しい遊びグルマになっている」とコメントした。

 規模は小さいが、熱心なファンを獲得できたようだ。クルマにお金を掛けてくれる有り難いユーザーでもあるだろう。

ホンダシビック

価格帯:265万320円
日本での販売をやめた時期:2010年
日本で販売を復活した時期:2017年9月
2019年1~6月販売台数:1151台
2019年月販平均販売台数:175台

 かつてのシビックは、今のホンダ車でいえば、フィットを少しスポーティにしたようなクルマだった。初心者ドライバーも含めて運転しやすく、居住性などの実用面も満足できて、価格は求めやすい。しかも外観がカッコ良く、走りも楽しめるから、当時のクルマ好きの憧れであった。

 ところが2000年に登場した7代目の国内仕様には3ドアハッチバックが用意されず、5ドアとセダンになる。2001年には空間効率の優れた価格の割安な初代フィットが登場してヒット作になったから(2002年は国内販売の総合1位)、シビックは売れ行きを下げた。

2017年に復活するまで8代目シビック(2005~2010年)が日本で販売された最後のシビックセダンだった。ハイブリッドもラインナップするが3ナンバー化で失敗

 この結果、2005年に登場した8代目の国内仕様は、3ナンバーサイズに拡大されたセダンのみになり、2010年に国内販売を終えた。

 その後、9代目は国内で売られず、2015年10月に10代目が登場する。これも当初は国内で販売されなかったが、2017年になって復活した。

 背景にはシビックセダンを日本国内の寄居工場で生産することになり、5ドアハッチバックとタイプRはイギリス製を輸入してラインナップを整えた。

 開発者は「諸般の事情により、シビックはやむを得ず国内販売を終えた。ただし国内を諦めたわけではなく、復活の機会を狙っていた。そしてこの度(2017年に)、復活できた」とコメントしている。

 ただし現行シビックの発売時期は、N-BOXのフルモデルチェンジ、フィットの大幅なマイナーチェンジ、ステップワゴンのハイブリッド追加と重なった。そのためにシビックは、多忙をきわめた販売現場で完全に埋もれてしまった。

 発売時期をこれらの売れ筋車種から離し(改良などが何も行われない時期のほうがずっと長い)、なおかつメーカーが販売店を支援して、中高年齢層の心に響くシビックのイベントを行うべきだった。

八郷社長の肝いりと言われたシビックセダン。ここまでボディサイズが大きくなると伝統のあるシビックという車名ではあるが別物といっていいレベル

 また基幹車種を廃止して復活させる以上、明確なストーリーや経緯の説明が大切になるが、それもまったく行われなかった。つまり大切に扱うべき車種を粗雑に復活させただけだ。この点を開発者に尋ねると「ウチはそういうところが下手なもので……」との返答だった。

 シビックは2019年1~6月の累計で1151台と低迷。それでもホンダは一度日本を見捨てたシビックを購入してくれているユーザーに感謝すべきだ。

次ページは : ホンダCR-V

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!