■ダシの香りに包まれて コの字カウンターは幸せオーラ全開『おでん二毛作』@京成立石
ナチュラルワインとおでんの店が増えているが、ここはその草分け的存在だ。
「ナチュラルワインはダシとの相性が抜群です。最近人気のオレンジワインも合いますよ」というのはワインを愛する店主の日高さん。地元立石出身で、実家はおでん種などを作る蒲鉾店。つまりおでんとの付き合いは生まれた時から?そんな日高さんが繰り出す最高のおでんがこの店の主役。
つくねからあさり天などの練り物まで、おでん種もできる限り店で作っている。さらに、おでんだけじゃない間口の広さも魅力的。
ワインに始まり、骨太な日本酒、クラフトジンにウイスキーと酒はお気に召すまま。多彩な酒に合わせて、鮮度のいい刺身があるかと思えば、熟成ナチュラルチーズ、はたまた「純レバ焼」なんて下町らしい一品まで。しかも昼飲みにぴったりの午後2時開店とくれば、もう酒場としてパーフェクト!
[住所]東京都葛飾区立石1-14-4
[電話]03-3694-2039
[営業時間]14時~22時(21時LO)、土12時~20時(19時LO)、日14時~21時(20時LO)
[休日]月
[交通]京成本線京成立石駅南出口から徒歩3分
■和食出身の店主が味噌と醤油の二刀流で攻める『うめが丘 ふかや』@梅が丘
おでんの店は数々あるけれど、味噌味と醤油味のふたつを同時に楽しめるというのは珍しい。店主の深山さんは「2種類あったら楽しいかなと思って」と笑う。
ダシは鰹節と昆布の合わせだが、鰹が強め。「鰹の持つ酸味を効かせたい」という。だから香りが豊かで、キリっと引き締まった味がする。
醤油味の大根もよくツユが染みているが、味噌味の方は2~3日かけて炊くそうで、真っ黒に染まってこれまた堪らない。黒胡椒をパラリとしたしゃぶしゃぶ風のレタスや箸でちぎれるほど柔らかく煮込んだ味噌おでんの牛タンなど、変化球も充実。これならおでんが単調なんて言わせない!
和食で修業したという深山さんは、おでん以外のつまみもお手のもの。繊細な刺身あり、アジフライあり、ポテサラあり。〆には土鍋炊きの炊き込みご飯まで。和食店と居酒屋と、おでん店のいいとこどりである。
[住所]東京都世田谷区梅丘1-22-11 福井屋ビル1階
[電話]03-5799-6573
[営業時間]11時半~14時半(14時LO)、17時~23時(22時LO)
[休日]月・祝
[交通]小田急線梅が丘駅から徒歩2分
■名料理人が生んだ端正なおでんとつまみをカジュアルに『都橋 おでん 久』@野毛
日本料理『青柳』の店主・小山裕久さんといえば、日本料理界の重鎮のひとり。『都橋 おでん 久』は、その小山さんが料理を監修し、元料亭の料理長が腕を振るうというなんとも贅沢なおでんの店だ。ともすれば家庭料理ともいえるおでんを、小山さんはどのようにアップデートさせたのだろうか。
「『青柳』でおでんは出しませんが、まかないでは作ります。素材によってダシを変える日本料理と違って、ひとつのダシに様々な具が入るおでんは楽しい料理ですね。それだけにダシが決め手となる」という。
そのダシには真昆布、血合抜きの鰹節、アゴ、しいたけなど最高級の素材を集めた。さらに日本中から13種類もの白醤油を取り寄せ、何パターンものツユを作ってとことん研究し尽くしたという。そうして完成したおでんのツユは、クリアだがおでんの具のよさを持ち上げる力強さを併せ持つ。
この自慢のツユと最もよく合うのが名物「エビ進上」だ。おでんのダシをはったお椀仕立てで登場するが、『青柳』のエビしんじょうと全く同じように作るというから、名店のDNAを受け継ぐ逸品だ。
「おでんは長く煮込めばいいと思われがちですが、それぞれの具ごとにちょうどいい煮上がりがある」と小山さん。そこを逃さず、素材の味や食感を生かすのも繊細な日本料理の技があればこそだ。
また、都橋という場所は飲み屋街・野毛の一角という土地柄。そこで「失われつつある横丁をビルの中に縦に再現してみました」と笑うのはオーナーの間部さん。ビルの上から下からを横丁気分ではしごして欲しいという。
そんな現代の横丁で味わうハイレベルな和食とおでんが、この冬をもっと楽しくしてくれる。
[住所]神奈川県横浜市中区野毛町1-4-1 Kiara Garden Noge4階
[電話]045-325-8088
[営業時間]17時〜23時
[休日]無休
[交通]JR京浜東北線・根岸線桜木町駅から徒歩6分
『おとなの週末』/2024年1月号より転載
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
コメント
コメントの使い方