3月から5月はクルマの乗り換えが多い繁忙期。新車もしくは中古車から選ぶのが一般的だが、まれに「新古車」と呼ばれる販売車両に出会うことがある。特に春先は新古車が市場に出やすい時期。今回は新古車購入のメリット、デメリットを中古屋店に勤務していた筆者がお教えします。
文:デグナー12(Team Gori)/写真:写真AC・トヨタ
■条件が合うならメリット大の新古車
「新古車」とは一度登録された車両で、未使用のクルマのこと。未使用であっても一度登録された以上、中古として扱われるため、新車よりも安価である場合が多い。
一般的な中古車より故障や修復歴の心配が少なく、新車に近い状態であることも大きなメリットだ。
また、費用面では車両価格に加え、購入時の法定費用も安価。新古車は自動車税や重量税などが登録時に納税されているため、免除される場合が多い。
初回の車検は3年後であるため、一般的な中古車に比べて車検の残存期間が長いこともある。
さらに、納車が早いこともメリットのひとつ。コロナ禍に比べれば納期遅延は解消されつつあるが、いまだに半導体不足などの影響があり、車種によっては一年待ちもある。
新古車であればすでに車両があるため、名義変更などの手続きのみで納車可能。早く欲しい人にとって新古車はオススメといえる。
■では新古車にデメリットはないのか?
一方、新古車ならではのデメリットもある。第一にグレードやボディカラーが自分の好みで選べないこと。オプションに関してもメーカー出荷時にしか装着できない装備がある。完成済みの車両であるため、この点は致し方ないが。
また、売却時の買取り査定に影響することもある。ワンオーナーの査定が有利になるのに対し、ツーオーナーとしてカウントされる新古車は、後の買取り査定では不利に。
ただし、現車確認で査定してくれる買取り店であれば、状態がよければ不利になることは少ない。逆に現車確認が難しいネット査定では不利になる傾向が強い。
新古車は購入時の法定費用が安価であることを前述したが、あくまで中古車扱いとなるため、EVやプラグインハイブリッドなどの新車を対象としたクリーンエネルギー補助金や減税制度は対象外。車種によっては新古車の方が割高になる場合があるのを覚えておこう。
グレードやボディカラーなどにこだわりがない場合はメリットの方が大きいだろう。ただし、新古車は常に市場にあるとは限らず、成約率も高いため、購入決断に時間をかけていると他の人にとられてしまう。即決が求められるのも新古車の特徴といえる。
■新古車が出回る業界の裏事情
市場に出回る新古車で最も多いのは、ディーラーの自社購入車両が中古車販売店やオークションに流れるケース。この背景には販売目標や目標達成で得られるインセンティブ、人気車種を優先的に回してもらうために自社購入して販売台数を伸ばすなど、さまざまな事情がある。
また、注文者のキャンセルや搬送中に傷がついてしまったなどの納車前の不備により、新古車が発生する場合もある。それらのクルマを新車として販売するわけにはいかないため、傷の度合い次第では修復して中古車販売店やオークションに流すという訳。
■新古車購入時にチェックすべきマストポイント
まずは必ず新車価格と比較して安いかどうか。同じグレードでもメーカーオプションの装備内容によっては新古車の方が高い場合もあるからだ。自分にとってほしいオプションかどうか検討し、新古車だからといって安易に飛びつかないように注意が必要。人気車種であれば新古車といえどもそれほど安くない場合も。
また、新古車に限ったことではないが、購入時にメーカー保証の継続が可能か確認しておくべき。エンジンや駆動系などの重要部品のメーカー保証期間は5年経過もしくは10万キロ走行であり、名義変更後にディーラーで12か月点検を受けることでその保証を中古車へ引き継ぐことが可能だ。
新古車が市場に出回るタイミングはディーラーの決算期である4月や10月頃や、モデルチェンジの前後に多い。新古車を狙っている人はこれからの時期に販売店にアプローチしておくといいだろう。
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