スズキのエコクール
アイドリングストップは今では付いていないクルマのほうが珍しいくらい当たり前の装備になっている。
しかし普通のエンジン車にアイドリングストップを組み合わせた場合、夏場はアイドリングストップ後エアコンのコンプレッサーが動かないため15秒もすると生ぬるい風となり、エアコンを働かせるためエンジンが始動し、アイドリングストップによる燃費向上効果は薄れてしまう。
その点に着目したスズキはエアコンの構成部品のひとつであるエバポレーターに蓄冷剤を入れ、エアコン使用中のアイドリングストップ時間の延長に寄与するエコクールを開発。
エコクールは低コストながらアイドリングストップ時間の延長による燃費向上に小さくない効果を持ち、エアコン使用中の燃費低下防止に貢献。
社内の文房具などでも無駄を徹底的に嫌うスズキらしい装備で、スズキだけでなくトヨタ車でも同様の装備を持つクルマがあるくらいで、地味ながら燃費向上に貢献し、普及もしている装備だ。
ダイハツコペンの電動メタルトップ
オープンカーの電動メタルトップはクーペに近い快適性と簡単にオープンにできるため積極的にオープン走行をしたくなるという大きなメリットを与えてくれる機構である。
電動メタルトップにはコストや重量増、ラゲッジスペースが狭くなるというデメリットもあり、基本的には高級オープンカー向けの機構なのだが、それを一番不利な軽自動車に押し込んだのが初代コペンである。
コペンの電動メタルトップは同時期に登場した4代目ソアラの電動メタルトップと遜色ないスムースな動きをするだけでなく、オープンにしても軽自動車ながら一応のラゲッジスペースを確保している。
驚きはその価格で電動メタルトップを採用しながら約150万円と激安であった。世界を驚かせたのは言うまでもない。
初代コペンはどちらかといえばプロムナードカー(お散歩クルマ)だったが、それはそれでユーモラスなスタイルに似合ったキャラクターであり、軽自動車の維持費の安さも含めマツダロードスターとは違った方向でオープンカーに対する敷居を低くした功績は大きい。
軽自動車のターボ技術
現在世界的には排気量の縮小、エンジンの小型化で燃費を向上させるダウンサイジングターボが普及し、日本車のダウンサイジングターボでそれほどいいものがないのは残念だが、その中で高い技術力を感じるのが最近の軽自動車のターボエンジンだ。
かつての軽自動車のターボはアクセル操作に対する出力特性がピーキーで、パワーが出ればそれでいいというシロモノで燃費もクルマによっては高速道路を飛ばすと10km/L程度というクルマも珍しくなかった。
しかし現在の軽自動車のターボは排気量が1000cc程度に増えたようにトルクフルで扱いやすく、燃費もNAとそれほど変わらないことも多いうえに、価格も10万円高程度ですむことも増えており、軽自動車の進歩を後押ししている。
これは軽自動車がターボの恩恵を強く受けているのも事実だが、軽自動車のターボ技術が急速に進んでいる賜物でもある。
最新の軽自動車のターボエンジンのすばらしさには舌を巻く。
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日本車が特に軽自動車やコンパクトカー向けのダウンサイジング技術を得意としているのはやはり規格や枠といった縛り、必要性によるものが大きく、「目標が決まるとすごい力を発揮する」というある種の日本人の国民性の象徴ともいえる。
外国メーカーのエンジニアが日本に対して脅威に感じているのは、この小さなクルマたちだといわれているのも当然の話だと思う。
小さなボディというのは最大の制約になり、軽自動車ではそれが顕著なわけだが、安全性を高めるのに大きく貢献している安全ボディ構造なども見逃せないポイントだ。
ここ数年日本車のダウンサイジング技術はあまり浮かばないが、再び外国人がアッと驚くようなダウンサイジング技術を見てみたいものである。
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