【当面マフラー交換は安泰も】騒音規制でクルマ界は暗黒時代突入!?

 2018年11月30日付けで国土交通省の自動車局環境政策課が『交換用マフラーを備えた四輪自動車等の騒音規制の取扱いを見直します』というリリースを出した。

 具体的にどうなるのかは、本項で説明するが、交換用マフラーを取り巻く環境が非常に厳しくなっているのは事実で、チューニングの定番として人気の高いマフラー交換は今後どうなるのか? 

 また、新車時装着の標準マフラーについても、2020年からさらに厳しい騒音規制が適用される。これ、スポーツカーだけでなく、クルマ界全体のピンチにも発展しそう。クルマの「音」の楽しさは消えてしまうのか? それともイノベーションが起こってこのハードルを飛び越える技術が生まれるのか??

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカー編集部、ベストカーWeb編集部


排気騒音の規制値は強化され続けている

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『新車時の近接排気騒音が車種毎に定められた一定の値を超える四輪自動車等に交換用マフラーを備える場合、新車時の騒音から悪化しないことを確認する相対値規制を導入する等の改正を行います』

 上記は国交省のリリースの記述だが、新車時の騒音から悪化しないことが基準となる相対値規制の新たに導入したことが改正のポイントとなっている。

近接排気音規制は年を追うごとに強化され、現在は平成28年騒音規制が2016年10月1日以降に製造された新型車を対象に適用されている

 クルマの排気騒音に関する規制値はどんどん厳しくなっている。ここではマフラー交換のメインである乗用車について話を進める。

 1997年(平成9年)までに製造されたクルマなら103 dB、1998年(平成10年)以降に製造されたクルマは96 dB(後部にエンジンがあるMR、RRなどのクルマは100 dB)という絶対値により規制されるのは純正、アフターの社外マフラーとも同じ。

 そして平成28年騒音規制による規制値は以下のとおり従来に比べてエンジンの搭載位置に関係なく5dB厳しくなっている。

・車両後部にエンジンを有するもの(MR、RR):95 dB
・車両後部以外にエンジンを有するもの(FF、FR、フロントエンジンの4WD):91dB

 クルマの排気音をはじめとする騒音は、近接排気音測定、加速走行騒音測定、定常走行騒音測定と3タイプの測定法があるが、継続車検時や取り締まりなどで使われるのは近接騒音測定のみで、本企画でここまでに登場している騒音規制値はすべて近接排気測定値だ。

1997年以前に製造されたR32スカイラインGT-Rのようなクルマの近接騒音規制値は103dBとこれまでと変わらないが、いつその規制が変更されるかわからない

相対値規制とは?

 これまでの絶対値規制の場合、その数値を超えると車検に受からなかったり、規制の対象となっていたが、新たな相対値規制により社外マフラーに交換した場合、+5 dBの猶予が与えられることになったのだ。

 この相対値規制が適用されるのは、2016年(平成28年)10月1日以降に製造された新型車のみが対象となる。ただし、輸入車、継続生産車については猶予期間を与え、2021年9月1日以降の製造されたクルマに適用される。

 +5 dBの猶予が与えられているのは、新車時から劣化することなどが考慮されているためで、社外マフラーが優遇されているわけではない。新車時に装着されているマフラーの音量から大きくは変更できないことになることには違いない。

輸入車、継続生産車については猶予期間が与えられていて、平成28年騒音規制は2021年9月1日以降に製造されたクルマから適用となる

 とはいってもJASMA(日本スポーツマフラー協会)認定品はこれまでどおり問題なく車検に適合するし、取り締まりの対象外なので安心して装着することができる。

 マフラー交換の醍醐味である音については音量を追求することは不可能だ。すでにその傾向は現れていたが、さらに顕著となり、排気音としては音質の追求、そして排気効率の追求による性能アップ、そして見た目の派手さで勝負することになる。

 日本のマフラーメーカーはこれまでも厳しい規制をクリアして魅力的な商品を出してきているので、平成28年騒音規制も克服してくれるはず。期待したい。

JASMA認定品はこれまでどおり安心して装着できるが、音量で勝負できなくなっているため、見た目と性能向上と音質でどれだけ魅力アップできるかがカギを握る

加速騒音は国際基準調和を目指す

 これまでは近接排気騒音について考察してきたが、現在クルマ界を震撼とさせているのが加速走行騒音の規制だ。これまで加速走行騒音については国内独自基準で規制してきたが、国際基準調和にシフトして強烈に厳しくなっていく。

 四輪車については、UN R51-03規制と呼ばれていて、規制はフェイズ1、フェイズ2、フェイズ3の3段階が予定されている。

排ガス面では排気量の小さい軽自動車は有利だったが、騒音規制に関してはタイヤの走行ノイズが大きく関係するから特別有利なわけではない

 国際基準調和の観点で2016年10月1日以降に生産された新型車についてはフェイズ1が適用されていて(継続生産車などは2022年9月1日以降)、乗用車の場合、市街地での加速騒音は車両規定により72~75 dBに規制されていているがほとんどは72~73 dBだ。

 そして2020年10月1日以降に生産されるクルマについては、さらに厳しくなったフェイズ2規制が適用される。規制値は70~74 dB(ほとんどは70~71 dB)。

 わずか1~2 dBと思うかもしれないが、フェイズ1でもかなり厳しいなか、クリアすべきハードルはかなり高い。モーターなどを組み合わせるなどして音を小さくしなければ克服できないレベルで、もちろんタイヤの走行音もシビアでさらなる研究開発が必要になる。

ハイブリッド+エコタイヤという組み合わせは環境に優しいが、既存の技術だけでフェイズ2をクリアするのはかなり難しい

スーパースポーツカーは全滅!?

 ちなみにフェイズ3については、68~72 dBという規制値は現在電気自動車でもクリアするのが不可能という状態で、技術的なめどが立っていないとも言われているほど厳しい。

 導入時期についても未定で、フェイズ2導入後に国連の検討をもとに進めていくという。

 クルマ界は電動化に向かっていて欧州メーカーなども積極的に電化を進めているが、フェイズ3が適用されればエンジン単独のクルマが走行することはほぼ不可能。

最も厳しいフェイズ3についてはEVでさえ現時点でクリアできないほど厳しい。クリアするためにはクルマ、タイヤ双方の超絶な進化が必要となってくる

 クルマの出す騒音は傍からすれば迷惑以外の何物でもない。そのため静かなほうがいいのは当然だが、EVやハイブリッドで歩行者がクルマの接近に気づかないことによる事故問題など、いいことばかりではない。

 クルマの走行時の騒音で大きなウェイトを占めているのがタイヤなのだが、当然タイヤが太くなれば走行音も大きくなる。タイヤが細くてもゴムの硬さによって音は大きく変わってくる。

 スーパースポーツカーが排出ガスなどの対環境性能で電動化、ハイブリッド化などにより生き残る手段を見つけたように思えたが、騒音問題で全滅する可能性もある。

 スーパースポーツカーだけでなく、スポーツカー、スポーティカーにとっても厳しい時代が訪れ、クルマ好きにとっては暗黒時代となるかもしれない。

 自動車メーカー、タイヤメーカーがどう対処するのか、期待感しかない!!

ハイブリッド化、EV化により存続する方策を見出したスーパースポーツも、今後登場するモデルについては騒音規制という大きな障壁をクリアしなければいけない

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